いろんな方を指導してきて、「頭が良いですね」なんて、言われることがしばしばあるのですが、とんでもない。自分では普通だと思ってます。ではどうして、このような他者評価と自己評価に差が生まれるのか?頭の良さとは何なのか?今回はそんなお話です。
目次
頭が良いとは、どういうことか?
一口に頭が良いと言っても、そのあり方は様々です。単に勉強ができる、仕事ができるということが、頭の良さをはかる指標になるわけではないと、経験上感じます。勉強が苦手でも頭の回転が早い人、創造性に満ち溢れている人など。学歴があるわけでもないのに、社会で活躍され、成功を納めている人はたくさんいます。
記憶力が良い
これは文字通り、 物事を記憶する力です。瞬間記憶能力という言葉があります。見たことを写真のように鮮明に記憶し、忘れることがない能力です。そこまではいかなくとも、常人のレベルでも記憶力の良い人がいます。
この能力の便利なところは、アウトプットがスムーズに行えるという点。覚えているので、ロジックの組み立てが早くなり、すぐに知識を活かせますね。
例えば、英単語や文法を覚えていると、英文を理解するのにそれほど時間はかかりません。知らなければ、いちいち辞書などで意味を調べなければなりませんから。作業を行う時に、非常に便利です。
私はどちらかというと苦手な方なので、工夫しなくてはなりません。意味付けです。いわゆる語呂合わせですね。羅列した数を覚えるのに、半ば無理やり言葉を当てはめるやり方です。歴史の年号を覚える時に活用したアレです。「794(鳴くよ)ウグイス平安京」みたいにね。
物覚えが悪いと嘆く方はコチラの記事を参照にして下さい!
計算力
これはロジックを追う力です。文字通り、数学的な計算力もさることながら、「こうなればああなる」という 物事の因果関係を素早く把握できる力ですね。理解力に深く関わってくる能力です。
この能力に長けていると、原因と結果に対して、蓋然性(そうなるだろうという可能性)の高い先のことを予測できます。将棋や囲碁のプロ棋士たちは、この能力がずば抜けていると言えるでしょう。いわゆる、頭の回転の早さを計る指標になりそうです。
特定の分野であれば、日頃からの鍛錬によって培えるものだと思います。それが、日常的な事柄になると、すごく便利そうですね。合理的に最適化された道のりを選択できるわけですから。
ロジックとは何だ?と思う方は論理的思考力養成の記事を参照にして下さい!
想像力
これは物事を想像する力です。「物事を想像する」とは、 ある物事に対して、それが関係しうる他の物事との関係性を思い浮かべて総合すること、または、 パラダイムシフトが行えることを意味します。
注. パラダイムシフトについては、詳しくは、論理的思考力養成の実践編②にまとめていますので、そちらを参照に
分析と総合
分析は、 全体を構成する部分に目を向け、その構造を明らかにすることです。
例えば、地球という全体があれば、海があり、陸地があり、山があり…と言ったように、様々な「部分」に分けられますね?物事をそうした部分に分けて、それらの関係性を捉え直すことを意味します。
一方、総合はその反対。 部分部分をある関係性によって繋ぎ、組み合わせて、1つの全体として捉えることです。その度合いは分析に比べると、比較的自由に選ぶことができます。
例えば、北海道、本州、四国、九州、沖縄という部分を総合させると、日本という全体が表れます。しかし、それにとどまらず、ユーラシア大陸をも部分と見なしていけば、アジアという全体が表れることになります。
要するに、どのような範囲に焦点を合わせるかによって、表れる1つとしての全体は様々に姿を変えるわけです。さらに、現実とは異なる組み合わせ方をすることで、空想的な全体を表すこともできるでしょう。例えば、アフリカ大陸のすぐ横に日本列島がある様を想像することだってできるわですからね。
ものの見方にとらわれずに、自由に物事の焦点を合わせたり、現実とは異なる組み合わせを行うことで、ある全体を思い浮かべるということが、想像するということなのです。
パラダイムシフト
そして、もう1つのポイントは、 ものの見方にとらわれないことです。これが、パラダイムシフトという考え方に繋がります。パラダイムとは、「 視点、物事を捉える様式、思考の枠組み」を意味します。
例えば、地球は太陽の周りを回っていると考えること(地動説)と、他の星が地球を中心に回っていると考えること(天動説)は、パラダイムが異なると言えます。そして、この2つの考え方においては、同じ地球というものが、全く違った顔を見せることになりますね。
身近なものを思い浮かべても良いでしょう。机も「机」として見なすか、敢えて「椅子」と見なすかによって、捉え方が変わってきます。同じ物体でもその捉え方を変えることで、それに関わる他の様々な物事の捉えも変わっていくのです。
こうした広い意味でのパラダイムシフトを行うことで、1つの価値観にとらわれることなく、物事に対する様々な可能性を思い浮かべることができるようになります。想像とは、このような 自由な物事の捉え方に基づき、1つの全体としての像を、頭の中に描いていくことを意味するのです。
分析・総合やパラダイムシフトに関する頭の使い方について知りたい方は論理的思考力養成の記事を参照にして下さい!
「頭が良い人」という表現について
一口に頭が良いといっても、いろんな良さがあると思います。物覚えの良い人。計算の早い人。違った視点から物事を捉えられる人。想像力に富み、創造性のある人。そのあり方は千差万別とさえ言うことができそうです。
確かに、それぞれの能力に関しては、高いと言うことができるでしょう。しかし、正直なところ、「頭が良い人」という表現には、違和感を覚えます。というのも、本当に頭の良し悪しなどあるのか?という疑念を拭えないからです。
私は、頭の良し悪しなど、それほどないのでは?と感じることがあります。なぜなら、そうした能力は、ある程度鍛えることができるので、意識の持ち方1つで、変わる(成長する)ことができるからです。
もちろん、世の中には優れた人たちがいます。天才と呼ばれる人たちですね。それが生まれつきの頭の良さと言われれば、納得せざるをえないこともあります。それでも、私を含む凡人同士を比べると、元々の能力にそれほど差はないのでは?と思えるのです。
それでも、学歴や仕事のパフォーマンスに差があるのはなぜでしょう?それは、頭の良し悪しではなく(多少の差はあるかもしれませんが)、頭の使い方に差があるからです。
頭の使い方について
頭の良し悪しに関する個人的な能力について、天才と言われるような人間を除けば、それほど違いなどありません。要は、使い方です。
頭が良いと言われる人と、同じようなパフォーマンスを発揮しようとすれば、日頃からの鍛錬が必要です。どれほど身体的能力のポテンシャルを秘めていようと、日頃からの鍛錬なくして、パフォーマンスは発揮できないでしょう。それと同じです。
頭が良いというのは、常にそうあるような状態とは異なります。身体的にも、「力が強いね」とは言うでしょうけど、「筋肉が良いね」などとは言いません(筋肉マニアでもない限り)。「頭が良い」とは、それと同じくらい不自然な表現なのです。
頭は使わなければ意味がありません。道具と一緒です。包丁も使わなければ錆び付いていくでしょう。頭に関しても同じことが言えます。常に使えるように研ぎ澄まさなければなりません。
大切なのは、意識です。頭を使おうとする意識なのです。頭を使おうとする意識を持ち、日頃から鍛えていけば、能力は向上していきます。覚えようとすること。計算しようとロジックを追うこと。ものの見方を変えようと意識すること。考える対象の焦点を変えてみること。 こうした積み重ねが、いわゆる「頭を良く」していくことに繋がるのです。
まとめ
頭が良いということは、よほどの天才でない限り言えません。重要なのは、使い方です。そして、頭を使うということには、幾つかの能力に分けることができます。
・記憶力
・計算力
・想像力
こうした能力は、日頃からの積み重ねで鍛えていくことができます。
私が頭が良いなどとおだてられることがあるのは、私の頭が良いからではありません。凡人の私でも、日頃から使おうと意識しているから、そして使っているから、そのように見えるだけです。他の人より優れているわけではありません。頭が良いのではなく、要領が良いだけです。
確かに、慣れていないと頭を使うのはしんどいかもしれません。筋トレと同じです。でも、継続して積み上げていくと、きっとパフォーマンスが良くなっていくことに驚くでしょう。頭の使い方については、論理的思考力養成の記事を参考にして下さいね。
by tetsu
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