理系におすすめの本!高野和明の小説「ジェノサイド」の感想をレビューするよ

学生向け

大学2回生ぐらいの頃に一度この本を手に取り、コロナの自粛期間中に二度目を読みました。2回目に読んでみても非常に面白かったので、本ブログでご紹介したいと思います。

ジャンルはSF小説で、娯楽に分類される本ではありますが、テーマ性のある非常に良質な書籍です。個人的には、良質な小説を読むことによって、自己啓発本などでは鍛えにくい幅広い教養や考え方について学ぶことができると考えています。

ジェノサイドの書評

一言で表すと、世界規模の壮大なSF小説です。物語は日本・アメリカ・コンゴの三か国で同時進行で進んでいきます。

初めは、それぞれの国で描かれるストーリーのテイストも異なり、全く違うテイストの小説を同時並行で読んでいるような気分になります。それらの物語は中盤から徐々に絡み合いはじめ、やがて1つのストーリーに収束します。この物語構成が非常に秀逸であると感じました。

個人的には、この本の主テーマは人とはどのような存在か?にあると考えています。それに対する光の当て方も巧妙で、様々な方向・角度から人という存在について深堀りしています。

以上のことから、高野和明の「ジェノサイド」は良書と言えるでしょう。

ジェノサイドから学べる事

人や世界の実態とその捉え方について

先ほども説明したように、この本では「人とはどのような存在か?」について様々な角度から考察されています。リアリティーのある表現を通して、人をダメにするのも人だし、人を救うのも人であるというのを教えてくれます。

終盤の一節に次のような文があります。

今から自分は、地球にかえるのだ。

すべての生命を育んでいる、母なる星の上へ。

人々が愛し合い、憎み合い、善と悪の狭間で揺れ続けている、あの灰色の世界へ。

「ジェノサイド」下巻 371ページより

人を善と楽観的に捉えるでもなく、人を悪と悲観的に捉えるわけでもない点が良いですよね。また、灰色の世界は、白(=善)と黒(=悪)の混ざり合った様子を意味しているのも、想像を膨らませやすい表現だと思います。

ただ、個人的にはもう少しポジティブでもよいのかな?とも思いました。例えば、mr.childrenの「it’s wonderful world」という曲の歌詞にも次のようなものがあります。

Oh Baby 通り雨が上がったら
鼻歌でも歌って歩こう
この醜くも美しい世界で

引用:mr.children「it’s wonderful world」より抜粋

この詞のように、醜さを認めたうえで世界を美しいと言い切る方が個人的には好きです。

と言った具合に、「人と世界の実態とその捉え方」とついて思考を巡らせるきっかけになってくれる良書だと思います。

科学の面白さと危険性

作中では、主人公の古賀研人とその相棒の李正勲が難病の薬剤開発のシーンがあります。その過程で、科学の面白さと危険性に触れています。

人間は、未知のものを発見したり、新しいものを生み出すことに喜びを感じます。それは、知的欲求と呼ばれるもので、この欲求こそが人類を発展させてきました。

この本を読むと、その知的好奇心が満たされた時の感覚を疑似体験することが出来ます。ですので、将来的に研究室に入る可能性の高い理系大学生の人は一度読んでみても良いかもしれません。

また、この本では科学の負の側面についても説明しています。以下の文は、原爆開発にかかわった科学者の心理を主人公が推し量っているシーンですが、本当にその通りだと思いました。

アインシュタインの予言が現実化することに、そして人類がそれまで手にしたことのない莫大なエネルギーに興奮していたのではないか?未知への挑戦がもたらす陶酔感は、人類社会にとって諸刃の剣だ。

「ジェノサイド」下巻 334ページより

以上のことから分かるように、この本を通じて科学の面白さと危険性についても学ぶことができます。