世の中には、いろいろなハラスメントがあります。セクハラ・パワハラ・オワハラ・スメハラなど..
そして遂に、ロジハラ(ロジカルハラスメント)というハラスメントまで誕生してしまいました。そのロジハラの意味は「相手の気持ちを考えずに、正論(論理的に正しいこと)ばかり突きつけること」とされています。
「正論ハラスメント」とも言い換えられるでしょう。しかし、なぜ正論がハラスメントになってしまうのでしょうか?実は深いわけがあるんです…
というわけで、今回はその他のハラスメントとは一線を画す不思議なハラスメント「ロジハラ」について徹底解説したいと思います。
ロジハラの定義とは
ロジハラとは、ロジカルハラスメント(logical harrassment)の略で、その定義は「相手の気持ちを考えずに、論理的に正しいことを言い、相手の気分を害する行為」です。
また、ロジックを説得ツールではなく論破やマウンティングのツールとして使われるのもロジハラの特徴の一つです。
要は、論理的に正しい指摘であっても、相手を思いやる心がなければ、ハラスメントになってしまうというわけです。
確かに、人を説得して反省させて正しい道に進ませるためには、人を思いやる気持ちが一番ですもんね。逆に、指摘や説教でマウンティングしてくる人の意見はあまり聞きたくないですよね?
ロジハラの具体例
ロジハラの典型例としては、ホリエモンのツイッターでの発言が挙げられます。この発言には、ネット界隈でもロジハラだという声が多く上がっているので、世間的なロジハラの定義とも合致していると思われます。
誰でもできる仕事だからです
「なんで保育士の給料は低いと思う?」低賃金で負の循環 (朝日新聞デジタル) – https://t.co/EuidhabdJ1— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) October 12, 2017
厳密に言うと、この発言も正しくありません。保育士は国家資格であり、資格を取らないと保育士になれませんからね。ただ、発言の真意はそこにないと思われるのでここではスルーします。
ここで、ホリエモンが言いたかったのは、「保育士の試験は難易度が低く、多くの人が努力をすれば手に入れられる資格であるために、潜在的な供給量が多くなり、賃金が低下する。」だと思います。
以上のことを端折って言うと、「保育士の給料が低いのは誰にでもできる仕事だから」という発言になります。先ほども説明した通り多少の間違いはありますが、大局的に見た時には正しいといえます。
しかし、その言葉に思いやりはありません。一種の人格攻撃が含まれていますし。ですから、ロジハラと言われるわけです。
ロジハラにならない文章を考えると、次のようなものが考えられるでしょう。
保育士の給料が低い理由として資格の難易度が低いことが挙げられます。これにより、より多くの人が保育士になることができます。それは潜在的な保育士の数を増やすことに繋がり、需要と供給のバランスが崩れ給料が低くなります。
おそらく、この文章なら保育士の方が読んでもイラッとすることはないのではないでしょうか?
このように、相手のことを思いやったり、人格と事実を切り離すと受け手はロジハラと感じにくくなります。
ロジハラをしないために
指摘する目的を考える
当然のことですが、上司や先輩が叱ったり、説得したりするのは、正しい道に進ませるためです。
その目的に立ち返って考えてみると、指摘や説教をする際に、相手の立場や考え方を考慮することの合理性が理解できると思います。
ですから、相手の感情も込みでロジックを組み立てることが大切です。
思いやりの心を持つ
相手に対して思いやりの心を伝えることが出来れば、耳が痛い正論であってもハラスメントには感じないでしょう。
逆に、思いやりがなければ、どれだけ正しいことであっても相手に聞き入れられず、感情的な反発を受ける可能性すらあります。周囲にも正しいことは言うけど、角が立つ人っていらっしゃいますよね?
以上のことから、思いやりの心を持つことは、ロジハラを防ぐことと同時に相手の反発を防止する効果もあるわけです。ですから、部下や後輩に指導する際には思いやりを意識しましょう。
人格を否定しない
当然のことですが、相手に指摘する際には人格を否定してはいけません。先ほどのホリエモンのツイッターでの発言もそうですが、直接的ではないものの棘のあるような言葉遣いですよね。
おそらく、彼は注目を集めるために意図的にやっていると思いますが、世の中には無意識に人を見下した態度を取る人がいます。
そのようなタイプの人の間接的な人格否定の混じった正論は、受け手に精神的な負荷をかけたり、受け手から無用な感情的反発を受けることになります。そのため、信頼できる人間として見られなくなってしまいます。
ですから、ロジックを利用した人格否定は絶対にしないようにしましょう。
言い負かすことを目的にしない
中にはロジックによって言い負かすことを目的としている人もいます。つまり、ロジックを武器にマウンティング行為をしているわけです。そうすると、相手への発言もどんどん過激なものへと変化し、ロジハラに繋がってしまいます。
仕事をする上で論理的思考は必要不可欠なものですが、その使い方を誤るとハラスメントにもなり得るわけです。ですから、人に指摘をする際は発言を受け入れて行動してもらえるように話すようにしましょう。
ロジハラに対する対策
論理だけを追いかける
パワハラ気味の人は、人格攻撃などの毒を混ぜた正論を吐く傾向にあります。そういう場合は、純粋に論理だけを追いかけましょう。「お前はだめなんだ」などと言った無根拠又は論理が飛躍している部分については聞き流すようにしましょう。
話し手のどの部分が論理的で、どの部分が感情的か?を見分けることが出来れば、精神的なダメージを受けたり、感情的になることも少なくなると思います。
自分のできる範囲で考える
時には正論ではあるけれど、自分の実力を鑑みたら無理に等しいということもあります。そういった時は、自分が精一杯頑張った時にようやく到達できる部分とそうではない部分に切り分けて考えましょう。
つまり、自分が出来る限界以上のことを指摘されても「仕方ないじゃん?」ぐらいのスタンスでいれば良いということです。
もちろん、この考え方を全面に出しすぎるのは問題ですが、モチベーションの維持が難しい時には、開き直ることも大切でしょう。
まとめ
ロジカルハラスメントは「相手の気持ちを考えずに、論理的に正しいことを言い、相手の気分を害する行為」と定義できます。そして、ロジハラが生まれるのは、相手に対する思いやりが欠けているためです。
そのような、ロジハラをしてしまうと、自分の主張が聞き入れられないだけでなく、相手からの無用な反発を受ける恐れがあります。つまり、ロジハラは百害あって一利なしというわけです。
ロジハラ防止の方法としては、論理に加えて共感や熱意など良い意味で感情的な部分を含ませると良いです。具体的な方法についてはこちらの記事を参照頂くと良いと思います。
また、ロジハラ被害者の立場になった時は、大きな精神的なダメージを受ける危険性があります。そのような場合には、「論理だけを追いかけて参考にすること」・「自分のできる範囲で考えること」を意識して、無用な精神的な負荷をかけないようにしましょう。
ロジハラと対になるようエモハラについてまとめた記事もございますので、興味のある方はご覧ください。
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