【組織の論理】望遠圧縮マンから考える結論ありきの危険性について

SNS界隈で商店街の密を撮影するために、望遠レンズを利用しているマスコミを揶揄して「望遠圧縮マン」という言葉が出てきました。

私はマスコミ叩きをしたくてこの記事を書いたのではありません。この「望遠圧縮マン」には、あらゆる組織に内在する問題だから記事として取り上げました。

そこで、今回は望遠圧縮マンの意味結論ありきの危険性と対策方法について解説します。

望遠圧縮マンの意味と背景

望遠圧縮マンの発端はこのツイートでした。

ここに添付されている写真にあるように、望遠レンズを使用して、密状態を意図的に作りました。

そのため、望遠圧縮マンと呼ばれるようになったわけです。

この写真だけでは望遠レンズによって、どれだけ密状態が変化するのかを判断できません。

そこで、簡単な検証をしているツイートを追加でご紹介したいと思います。

このように、焦点距離の値が大きくすると、圧縮効果が強くなり、密の演出ができます。

もちろん、表現手法の一つではあるので、その行為自体は全く問題ありません。ただ、カメラマンのバイアスがあることは疑いようがありません。

では、なぜカメラマンはバイアスのかかった写真を撮影したのでしょうか?

その点についてもう少し詳細に掘り下げます。

結論のための証拠集め

今回この写真を撮影したのは、朝日新聞のカメラマンでした。要は、組織人というわけですね。

組織人は組織の論理に従って動きます。もちろん、私もそうです。組織に歯向かえば出世も難しくなりますし、下手したら左遷も考えられますからね。

組織が緊急事態宣言の効果がないことを示すエビデンスを集めろと指示すれば、末端はそのように動きます。

逆に、緊急事態宣言の効果があることを示すエビデンスを集めろと指示すれば、広角レンズを使用して商店街を撮影することになるでしょう。

このように、結論が先にあって、それに沿うように論理を組み立てることが組織人として生きていく秘訣なのです。もちろん、このやり方だと本当の成果を上げることは難しいですけどね。

学術関連でも、都合の良いデータだけを集めて学会発表するケースも良くあります。ただ絶対にウソはつきません。つまり、真実だけで騙しているわけです。

この真実だけで、特定の主張に結び付けるのもテクニックの一つなのです。

解決策

このような結論ありきの証拠集めを求められる場合の対策は、主に2つあります。

一つは上層部に忖度せずに意見することです。

これは非常に難しいことです。とはいえ、自分の仕事に一定の経験がある方はこの方法もとれます。逆に、右も左もわからない新人は、なかなか忖度せずに物申すのは難しいです。

ですから、仕事に自信のある方は積極的に組織の歪みに対して声をあげると良いでしょう。仕事経験の浅い社員も内心ではきっと応援していると思います。

もう一つは上層部が都合の悪い事実を認めることです。

上層部の中には自分の評価が下がることを恐れて、都合の悪い事実を認めずに、自分の都合の良い情報を求める方がいます。ほかにも、自分の意見を否定しないイエスマンばかりを集める人もいます。

そういう人が上に立つと、末端社員は都合の良い証拠だけを集めて、都合の良い事実を作り上げなければならなくなります。ですから、上層部には都合の悪い情報を取りに行く勇気が必要となります。

上記のように、自分で考える力を養うことこそが大切なのです。

自分で考える力を身に付けることが大切な理由について解説

まとめ|望遠圧縮マン

望遠圧縮マンとは?

望遠圧縮マンは、焦点距離の大きいレンズを使って、密を演出する人を指します。

密である」という事実を作るために、撮影されるケースが多いです。

なぜ、結論ありき?

望遠圧縮マンは、「密であること」を示すために、望遠レンズを活用します。

このように、望遠圧縮マンは、結論ありきなのですが、そのようになる理由は組織にあります。

多くの組織で、特定の結論に至るために、情報を収集する手法が使われています。これは、良くないことではありますが、学術・産業関係なく、あらゆる場面で利用されています。

この結論ありきの思考になれると、論理の使い方が逆転し、仕事の精度も下がることになるので、注意が必要です。