生産性の高い会議や議論をする上で、意識するべき大切なことについて

会議や議論をしていて虚しくなることがあります。それは、何も建設的な意見が出てこない時。あるいは、議論をしていても、何も前に進まない時ですね。正直なところ、10分もあれば、できるような内容を、何時間もかけてやる場合さえあります。時間の浪費ですね。こうしたムダな時間を過ごさないためにも、生産的な会議や議論をするための大切なポイントをおさえましょう。


人の話を聞く

当たり前の話ですが、生産的な会議や議論をするために必要なことは、人の話を聞くことです。意外とできていない人が多いのが、驚きですね。例えば、我の強い人は人の話を遮ってでも、相手を押さえつけようとする場合があります。しかし、言うまでもなく、これは何の生産性もありません。

男性で言うと、いわゆるガミガミオヤジと言われる人がそうですね。 自分の価値観だけに固執して、他人の考えなど認めない人です。ご自身で思い当たる節があるなら、改められた方がよろしいでしょう。人の話を遮って押さえつけようとすると、その内、賢明な人は誰も話してくれなくなりますよ。なかなか性格を変えるというのは難しいかもしれませんが…。

また、 人に認めてもらいたいという気持ちが強い人にも当てはまる話です。自分の価値観や会議や議論を、己の承認欲求を満たす場にしているわけです。話の目的が「誰かに認めてもらいたい」である以上、会議や議論の本来の目的とするところからズレた話がなされることが多くなります。それでは、生産性が上がるはずもありません。

悲しいかな、こうした類の人間は、実に多いのが現状です。議論をしないなど、極力関わらないようにするのがベストですが、やむをえない場合は、議長の裁量に委ねるなど、第三者に判定してもらえるようにしましょう。一対一でマトモに相手しても、疲弊するだけです。適当に受け流しておきましょう。

そして、生産性の高い会議や議論を望むのであれば、人の話はしっかりと聞くようにしましょう。相手に間違いがあれば、話をすべて聞いた後で、どこが論理的、構造的におかしいのかを指摘すればよいのです。すると、「そうならないためにはどうすれば良いか」という建設的な意見交換の土壌作りができます。

みなが気持ちよく話し合いができるように心がけましょう。場合によっては、進行役を決め、ルールを明文化してもいいですね。ルールを破った人は発言権を持たないようにすれば、実に生産性の高い会議や議論が実現するでしょう。


マウントを取らない

プライドが高い人に多くみられます。議論などの話し合いで、何でもかんでも、相手の上に立とうとする人です。単刀直入に言うと、これも極力相手にしない方が賢明です。時間のムダですからね。

しかし、知らず知らずの内に、自分がそうしたマウントを取りにいってる可能性もあります。特に、社会的な立場上、下の人間に接するときに。例えば、自分が上司や教師で、相手が部下や生徒などの場合ですね。

人間ですから、自分よりも目下の人間を相手にすると、負けたくないという気持ちも出てくるかもしれません。しかし、 議論や話し合いというものに、勝ち負けなど存在しません。似ていますが、ディベート(討論)と話し合いは違うものです。

(※  詳しくは『ディベートと話し合いの違いとは何か?』の記事を参照して下さい。)

ディベートと話し合いの違いとは何か?それぞれの意味と目的から考えてみよう

論理的な構造や理屈の正しさに、上も下もありません。ただ、ある前提に立つと「どちらがより良いか?望ましいか?」があるだけです。勝ち負けではなく、「より良くするためにはどうすれば良いか?」を念頭に置いた話し合いを心がけて下さい。そうすれば、会議や議論は生産性の高いものとなります。


準備をする

何をするにしても、当然の話ですが、きちんと準備をするということが、とても重要です。準備と言っても、パワーポイントなどを用いて、わかりやすい資料を作成したりすることだけではありません。むしろ、そうしたことは二の次です。

何よりも重要なのは、 話すべき内容を、頭の中できちんと整理しておくということです。

議題は何か?

問題は何か?

考えられる解決策は何か?

そして、何よりも重要なのが…

自分がわからないこと、把握できていないことは何か?

こうしたことを明確にしておかなければ、何の意味もありません。特に、この④が難しいみたいです。人は知っていることなら言えるのですが、知らないことを把握し、「知らない」と言うことがなかなかできません。時にはプライドが邪魔をし、時にはわかっていないことに気付けない場合さえあるのです。

④を実践するためには、常日頃から、自分がわかっている範囲がどこからどこまであって、ある目的を達成するためには、 何を把握していなければならないのかを自問することです。


生産的な話し合いをするために

例えば、安全器具を作る会社での販路開拓のための会議を想定してみましょう。製造部門からすれば、良い製品ができたとしても、売れなければ意味がありませんね。ですが、製造部門の人からすれば、物を作ることが専門であって、物を売ることは専門外です。そこで、売ることを専門とする営業部門の人たちの出番となります。異なる立場の人間が有益な話し合いをするために大切なのは、相手の立場を尊重することです。

会議では、「人の話を聞く姿勢」、「マウントを取らない姿勢」が重要なのは言うまでもありません。話を途中で遮られて、「はいはい、アンタの話は聞くだけムダだよ」なんて言われると、話し手は何も情報を渡さなくなります。聞く側の機会損失にもつながりますし、健全な話し合いができる状況ではなくなりますね。

また、きちんと話し合えるための準備をすることも大切です。その場合、製造部門の人たちは営業部門の人たちの、営業部門の人たちは製造部門の人たちのことを、慮った話し方をする必要があります。

会議や話し合いをするのは、問題が生じた時や、問題が生じないようにするためです。問題が生じるということは、状況をコントロールできていない証拠です。それは、状況に対して、 わからないことがあるということを意味します。

部門間での話し合いなどは、まさにそれです。ある製品を開発した後に、製造部門は営業部門に対して、他の製品との差別化や利点はこういうところにある、ということを伝えなければなりません。でないと、その製品を顧客に売るのは難しくなりますからね。

逆もまた然りです。そもそも、営業部門は製造部門に対して、日頃からの顧客の要望やクレームを製造部門に伝える必要があります。それにより、より売れる製品の開発につながるのです。

部門間での話し合いにより、意志の統率をはかった上で、販路の拡大を目指すことはよくあります。しかし、そうした話し合いの場で、製品知識などの専門知識のなさを蔑んだり、営業での現場のことをわかってないなどと言い争っても意味がありません。会議や話し合いは、 相手の悪いところを見ようとするのではなく、共通の問題に目を向けるのが目的です。そうした共通の目的意識を持つということが、生産的な話し合いや会議をする上で、何よりも重要なのです。


まとめ

様々な研究発表や会議、あるいは、話し合いの場に顔を出しましたが、それらの多くは、はっきり言って、ムダなことが多いです。仕事のできる人間と会議や話し合いをすると、30分もかからないことがほとんどです。逆に、何も決められず、時間のムダとしか思えない会議ほど、何時間も費やす傾向にあります。

時間のムダになる会議や話し合いは、圧倒的に準備不足であることが多いです。その上、人の話を聞かず、マウントを取ろうとする人間がいるので、そうなるともはや救いようがありません。精神と時間が削られるばかりで、「何のためにこんな場に同席しなければならないのか?」という問が脳裏を駆け巡ります。そうならないよう、生産的な会議や話し合いをするための大切なポイントをおさえておきましょう。

生産的な会議や話し合いにのぞむ望ましい態度: 相手を見るのではなく、共通の問題解決へのアプローチとしての場と心得ること

生産的な会議や話し合いの場で大切にするべきポイント

①相手の話を聞く姿勢

②マウントを取ろうとしないこと

③十分に準備をするということ

こうして、お互いがお互いの立場を尊重し合えることが、生産的な会議や話し合いへの第一歩となるのです。

 

by    tetsu