老子の名言「足るを知る」の本当の意味から学ぶ人生における幸せについて

古代中国には、老子という哲学者がいました。

その老子が残した書物に知足者富という言葉があります。

この言葉が、日本語の「足るを知る」(足るを知る者は富み)の語源になってます。

今回は「足るを知る」の意味とそこから得られる教訓について解説します。この記事を読めば、現状を肯定でき、幸せを感じられるようになるかもしれません。

老子の言葉

知足者富」は、次の文の一節にあります。

知人者智、自知者明。勝人者有力、自勝者強。
知足者富、強行者有志。

「老子」より

意訳を混ぜつつ、日本語に訳すと次のようになります。

日本語訳

人を知る者は賢者であるが、己を知る者はそれのさらに上を行く。

人に勝つものには力があるが、己に勝つものはさらに力強い。

満足することを知っている者は富んでいる。それでいて、努力できる者には志がある。

2000年を超えても語り継がれる言葉には、何か普遍的な価値があるのでしょう。

「足るを知る者は富み」の意味

「足るを知る者は富み」とは、「満足を知る者は豊かである」という意味です。

英語にも次のような面白い表現があります。

Content is the philosophers stone, that turns all it touches into gold.

日本語訳をすると、「満足とは触れるものを全て金に変えてしまう「賢者の石」である」です。

本質をついているお洒落な表現なので、私は好きです。

確かに、家族・恋人・友人と過ごす時間、美味しいものを食べた時、大きな仕事を一つ終えた時など充足感に包まれた時に人は幸せで豊かな気分になります。

逆に、常に満たされない人は心が貧しいのです。どれだけの金・地位・名誉・権力を持っていても、満たされないので、幸せとは程遠い状態になります。

「足るを知る者は富み」の解釈

では、足るを知り、現状に満足することが正しいのでしょうか?

もちろん、違います。

老子先生は後に続く言葉も残しています。「知足者富強行者有志。」です。

訳すと「満足することを知っている者は富んでいる。それでいて、努力できる者には志がある。」となります。

つまり、現状に満足している上で、努力をできる志を持つことが大切と説いているのです。

この考えは幸せです。なぜなら、常に満足をし続けることが出来るからです。

現状維持では幸せを感じ辛い

最近は高みを目指さずマイペースに現状維持という考え方が流行りつつあります。

しかし、人間は現状維持だけで満足を得られません。これを限界効用逓減と言います。

例えば、あなたが1万円を支払い、最高級のウニ(①)を食して感動したとします。

その感動を味わうためにもう一度同じウニ(②)を食べたとします。

さて、あなたはどちらのウニにより大きな満足を覚えることが出来るでしょうか?

①と②のウニが同じものであっても、①のウニの方が良く記憶に残るのではないでしょうか?

これが、限界効用逓減です。

同程度の刺激であれば、初めが一番の衝撃になるのです。

以上のことからも分かるように、現状維持で満足感を得続けることには無理があります。

現状に満足しなくてもしんどい

逆に、修行僧のように向上心を持ち、現状に決して満足しない場合はどうでしょうか?

確かに、成長は早いです。しかし、それを維持するための精神力が必要です。

それには、精神的に辛いものがあり、持続可能性という別の課題が現れます。

ですから、向上心を持ち現状に満足していない状態もあまりいい状態とは言えません。

志を持ち現状に満足しながら努力する

老子の言葉にあるように、志を持てば、現状に満足しながら努力できます。

そのメリットは常に満足感を得ながら挑戦できる点です。人生の理想ともいえるかもしれません。

やはり、人生において志を持つのは大切です。

まとめ

知足者富」(足るを知る)は、「満足することを知る者は豊かであること」を意味します。

また、この文の次には「強行者有志」という言葉が来ます。

これは、「努力できる者には志があること」を意味します。

以上のことを踏まえると、満足することを知る者は豊かであるが、それでいて努力が出来る者には志しがあるとなります。

つまり、「足るを知る」こと自体も大切であるが、その上で志を持ち努力できることが素晴らしいというわけです。

この考えを実践できると精神力を使わずに努力できます。

まずは、第一段階の「足るを知る」から始めてみてはいかがでしょうか?

現状を肯定できると気持ちが楽になりますよ。