遠慮と配慮の違いとは?「配慮はするが遠慮はしない」という星野仙一さんの名言から考える

同調圧力の強い日本において、「空気を読むこと」は生きていく上で必須のスキルです。

空気を読むという行為には主に二つの役割があります。

それは、遠慮配慮です。語感は似ていますが、意味は全く異なります。

というわけで、今回は遠慮と配慮の違いについて分かりやすく解説します。

遠慮とは

遠慮の定義を辞書で調べてみると次のようにあります。

  1. 人に対して、言葉や行動を慎み控えること。
  2. 辞退すること。また、ある場所から引き下がること。
  3. 遠い将来のことを思慮に入れて、考えをめぐらすこと。遠謀。
  4. 江戸時代、武士や僧に科した刑罰の一。軽い謹慎刑で、自宅での籠居(ろうきょ)を命じたもの。夜間のひそかな外出は黙認された。

引用:デジタル大辞泉

このように、遠慮には多くの定義があります。

その中でも今回扱う意味は、①番の「人に対して、言葉や行動を慎み控えること」です

そもそも、遠慮をする理由とはどういったものでしょうか?

それは「自己保身のため」です。

遠慮している時の心理状態を振り返ると分かりやすいと思います。

遠慮は、自分に自信がない時責任を負いたくない時にしますもんね。つまり、後ろ向きで生産性がないわけです。

もちろん、頻繁に遠慮する方は意思決定の場においても、自分の考えを主張することができません。

それは、周囲に気を遣っているのではなく、自分を守るためです。

というように、遠慮は「自己保身のために行動しないこと」と定義できます。

配慮とは

配慮の定義を辞書で調べてみると次のようにあります。

  1. 心をくばること。心づかい。

引用:デジタル大辞泉

シンプルな定義ですね。

この定義は「相手のことを考えた上で行動をすること」とも言い換えられると思います。

つまり、配慮は「人のため」の行動であるわけです

例えば、会議中にトップの人間が強く発言しないのは、周囲に対する配慮と考えられます。

そりゃ、目上の人間が黒と言えば、白でも黒と言ってしまう人が増えてしまいますからね。周囲の意見を聞くためにあえて沈黙するというのは、立派な配慮なのです。

というように、配慮とは「相手のことを考えた上で行動を取ること」と定義できます。

遠慮と配慮の違いと見分け方

先ほど説明したように、遠慮は「自己保身のために行動しないこと」です。

一方で、配慮は「相手のことを考えた上で行動を取ること」を意味します。

そのため、遠慮と配慮の違いは「誰のための行為か?」という基準で考えましょう。

例えば、明らかに間違っているのにも関わらず、目上の人への諫言を遠慮することは、非難を受けないようにするための自己保身です。つまり、利己的な行動と言えるわけです。

一方で、勇気を出して目上の人に諫言するのは、その人のためを思った配慮です。つまり、利他的な行動と言えるわけです。

簡潔にまとめると次のようになります。

  • 遠慮」は自分のための行動を慎むことです。
  • 配慮」は他人のために行動をとる/慎むことです。

配慮はするが、遠慮はしない

星野仙一監督の名言です。皆様も一度は聞いたことがあると思います。

星野監督は闘将とも呼ばれ、周囲からその厳しさで恐れられていました。

それでも、人望が厚かったのは誰に対しても「配慮はするが、遠慮はしない」という姿勢を貫いたからです。

もちろん、それは三度の三冠王に輝いた落合やメジャーリーグのスーパースターだったAJ(アンドリュー・ジョーンズ)も例外ではありませんでした。

普通の人ならチームの中心人物や自分より実績のある人に物申すことはできません。私なら絶対にできない自信があります。

しかし、星野監督は彼らの実績に敬意を払いつつも、言うべきことはしっかりと主張しました。時には怒り狂って暴言を吐くこともあったらしいですけどね。

配慮はするが、遠慮はしない」という言葉自体は非常にシンプルで分かりやすいものです

しかし、「言うは易し、行うは難し」とあるように、これを実践するのは極めて困難です。

しかし、真のリーダーとなりチームを率いるためには必要不可欠な能力だと思います。

皆さんも今から取ろうとしている自分の行動や考えが、「遠慮」なのか?「配慮」なのか?と問いかけてみてはいかがでしょうか?

それを考えるだけで、自身の思考・行動スタイルの変容を促すことが出来ますよ。

まとめ

  • 配慮とは?
    相手のことを考えた上で行動を取ること/慎むこと」です。つまり、利他的なわけです。
  • 遠慮とは?
    自己保身のために行動を慎むこと」です。つまり、利己的なわけです。
  • 配慮はするが、遠慮はしないとは?
    自分を守るために行動を慎むことはせず、相手のこと(実績・プライド・性格)を考えた上で行動をとることを意味します。