迷うのは時間のムダ?「考える」と「迷う」の違いについて

ケーキ屋さんで好きなケーキを選んでる時、洋服やアクセサリーなどの買い物をしている時、「ちょっと考えさせてね」と言う人がいます。しかし、本当に考えているのでしょうか?場合によっては、考えてると思って迷っているだけで、考えられていないこともありそうです。そんな時は、時間をムダにしてることもあるかもしれません。考えるということの本質に迫るために、迷うとの違いもおさえておきたいところです。


「考える」と「迷う」の違いについて

「考える」とはどういうことか?

考えるとは、 筋道立てて頭を働かせることです。原因があって結果が生じるという筋道を、頭で進んでいくことになります。逆に言えば、原因があって結果が生じるとわかっていること以外は、考えられないことになります。つまり、率直に言うと、原因がわからない、知りえないことについては、考えても無意味なんですね。

考えることについては、『考えるとはどういうことか?』の記事に詳しくまとめているので、そちらを参照して下さい。

考えるとはどういうことか?―考えることの本質について

「迷う」とはどういうことか?

「迷う」とはどういうことでしょう?辞書で調べると、Oxford  Languageの定義は次のようになっています。

  • 1.《五自》
    見当を誤り、または見込みが立たず、安定を欠く。
     
  • 2. 心が定まらずゆれ動く状態にある。決断がにぶる。惑う。

「路頭に迷う」などと表現する場合は、1の意味で使われていますね。先ほど挙げたケーキ屋さんの例ならば、2の意味でしょう。

「考える」と「迷う」の違いについて

「迷う」については、1の意味を見れば、「考える」ということとまったく違った意味であることは、見て取ることができますね。「考える」というのは、筋道立てて頭を働かせるわけですから、それに基づく行動などは、再現性があるが故に安定するようになります。

原因と結果の、いわば法則に則って行うわけですから、いつ誰がやっても、同じような結果になることが多くなるのです。もちろん、例外はありますが。

この1の意味を、「考える」の意味と取り違えることはないでしょう。間違えやすいのは、2の意味ですね。確かに、傍目から見ると、筋道立てて頭を働かせている姿と、心が定まらずゆれ動く状態は区別できないかもしれません。

ですが、内面的にははっきりとした違いがあります。考える場合は、認識が進んでいますが、迷う場合は、前進することはありません。その場で揺れ動いているだけです。

ケーキ屋さんの例でみてみましょう。夕食後のデザートとしてケーキを買って帰るとしたとき、考える場合、様々な原因を思い浮かべて結論を出します。次のような、意見を見て下さい。

「夕食はトンカツなどの重たい料理だから、デザートは比較的あっさりしたシフォンケーキにしよう」

「今日はまだフルーツを食べてないから、フルーツタルトにしよう」

こうした思いは、これから起こること、またはこれまでに起こったことを想起して、原因(理由)としてとらえ、買う物を決めていますね。これは、「考える」と言えます。

迷う場合は、ここまではっきりと原因を想定しません。「あれも美味しそう」「これも美味しそう」と、あっちにフラフラこっちにフラフラしてるだけなんです。だから、なかなか行動に起こすことが進まずに、時間を食うわけです。


迷うのは時間のムダ?

では、迷うのは時間のムダでしょうか?確かに、決断するのに、時間がかかるというのは、合理的に考えるとムダかもしれませんね。しかし、マイナスなことばかりとも言えません。迷うことができるというのは、案外幸せなことかもしれません。

ケーキ屋さんに行った時、色とりどりの美味しそうなケーキがずらりと並んでいるのは、甘いもの好きにとって、たまりません。「あれも美味しそう」、「これも美味しそう」と目移りする時間は幸せそのものです。

もちろん、ポジティブなことばかりではありません。しかし、迷えるというのは、 それだけ選択肢が与えられているということです。それだけでも、ある意味ありがたいことですよね。そして、そうした選択肢の中で、はっきりとした基準がないから人は迷うんです。

場合によっては、時間のムダになる恐れもあります。10秒以内に選んだ結論と、何時間もかけて悩んだ結論の多くは一致するという話もあります。悩んで結論がなかなか出ない時は、それが考えるといえることなのかどうか?考える基準があるのかどうか?そうしたことを確認してみると、判断力を鍛えられるようになるでしょう。

大切なのは、自分が今考えてるのか?それとも迷っているのか?それをしっかり自覚することです。ポジティブなことなら迷うのもいいでしょう。そうした時間の中にこそ、幸福を見出すこともできるでしょうから。そうでないなら、迷うのは時間のムダかもしれません。

バンジージャンプを飛ぼうとスタンバイしてるのに、怖いからといっていつまでも二の足を踏んでいるのと同じです。どうせ飛ぶなら、すぐにでも飛んだ方が怖さも軽減されるものです。大切なのは、 考える余地がないと判断できるなら、やるにしろやめるにしろ、すぐに決断することです。

大切な時間をムダにしたり、機会を逃さないためにも、考えることと迷うことを混同しないように、判断力を磨いていく必要があるのです。

by    tetsu