報連相で見落としがちな大切なことについて

報連相とは

ビジネスのコミュニケーションスキルの1つに報連相というものがあります。 報告・連絡・相談を表す言葉ですね。この言葉の重要性については、どこの会社の経営者や上司の方も口を酸っぱくして、伝えてるそうです。

集団で仕事をするとなると、個人のレベルではよく見えないところも出てきます。細分化された仕事の一部を担ってるにすぎませんからね。集団の仕事として、シナジー効果を得るためには、個人個人が各々の仕事の全体像を把握し、どのような位置付けで自分が仕事をしているのかを知る必要があります。

(※注.  シナジー効果:相乗効果ともいい、各要素が単体で出す効果よりも、それぞれが結び付きあって事にあたる方が、仕事の効率や効果が、大幅に上がるということ)

何のための仕事かを理解せずにやると、他の部署との調整が難しくなりますからね。あくまで同じ方向を向いて、一丸となって進めなければ、大きな成果を得ることはできません。そのためにタスクを最適化する必要性があるので、各々の仕事が、全体の中でどのような類のものか?何のためにそれをしなければならないのか?こうしたことを共通の認識として知っておかなければ、組織はうまく機能しなくなるでしょう。

そして、報連相をうまく活用することで、各部署や個人間の情報伝達などをスムーズに行い、目的意識や仕事のズレを調整するのです。1人だけで仕事をしているのであれば、必要ありません。しかし、ビジネスの世界においては、顧客、取引先、上司と部下など、様々な人間関係において仕事にあたることがほとんどです。だから、ビジネスシーンにおいて、報連相は必要不可欠であると言われるのです。

しかし、現実はそううまくいかないものです。様々な経営者の方と話をしていても、「報連相がなかなかできない」と相談されることが、しばしばあります。それでは、報連相にとって重要なこととは何でしょう?そこには、見落とされがちで大切な事柄があるのです。


報連相で見落としがちな大切なこと

情報伝達力

報連相にとって最も重要なことは、情報伝達力です。つまり、 説明する力ですね。これはビジネスシーンに限った話ではありません。日常生活においても、求められる能力です。実際に起こったこととチグハグなことを言っているようでは、相手にされなくなりますからね。

これについては、以前に詳しくまとめましたので、「説明下手な人の3つの特徴とその改善方法を紹介するよ」の記事を参照して下さい。

説明下手の特徴とイライラした時の対処方法について解説

判断力

次に大切なのは、判断力です。あまり取り上げられることがありませんが、とても重要な能力です。ここで言う判断力とは、物事を判断するという、漠然とした能力ではありません。何を報告(または、連絡や相談)し、何を報告しなくても良いか?ということを判断する力のことです。つまり、 報告すべき内容を選別する力のことです。

相談にしてもそうですが、相手に何かを伝える場合は、その内容を選別しなくてはなりません。一から十まで逐一報告すると、話を聞く側も「そんなことまでいちいち連絡しなくてもいい」と言って、わずらわしくなります。ですから、相手に伝える意味や、その情報の価値を考えた上で、内容を選ばなければならないのです。

とは言え、全てを自分で判断することはできません。大切なのは、「自分では判断できない」と判断した上で、そうした事柄を報告・連絡・相談することなのです。そうすることで、話すべき内容が限られるので、情報量的にも相手に負担をかけなくても済むようになります。

ただ、そうした判断力を身に付けるためには、考える力を身に付けなければなりません。

・自分が伝えるべきことは何だろう?(「自分は何がわかっていて、何がわからないか?」、「自分で判断できる領域がどこまであるのか?」に焦点をあてた考え方)

・どういう情報を相手は求めているだろう?(相手側の視点にたって、物事をとらえようとする考え方)

・どのような情報が役立てられる可能性があるか?(仕事やポジションの全体像をみた上で、情報に関して、「どのような因果関係が成り立つか?」に焦点をあてた考え方)

こうしたことに留意した上で、情報を伝えるためには、きちんと物事について論理的に考える力が求められるのです。

(考える力については、「考えるとはどういうことか?」の記事を参照して下さい)

自分で考える力を身に付けることが大切な理由について解説

信頼関係

経営者の方々とお話をする際、よく耳にするのが、「従業員が報連相を実践してくれない」というものです。上述したような能力を磨いたとしてもできないことがあります。そこには、見落とされがちなポイントがあるのです。それが信頼関係。見落とされがちですが、実は何より重要なポイントなんです。

そもそも、きちんと理性的に接してくれる上司でなければ、従業員の方々は報連相を実践しようとは思いません。報告や連絡をするたびに怒ったり怒鳴ったりする人間と話をしようとは思いませんしね。また、労働環境の改善を求めたり、仕事での悩みなどを相談しようにも、ムチャな要求をしたり、真剣に話を聞いてくれないと判断されると、相談なんてしようと思いません。

ですから、上司については、きちんと話を聞いてくれると思ってもらえるようにふるまう必要があります。また、従業員についても、自分勝手な要求ばかりではなく、問題点を整理したり、アドバイスを聞く姿勢であると判断されるように日頃から接しなければなりません。つまり、 報連相が実践されるように、日ごろから信頼関係を築く必要があるのです。


まとめ

報連相を実践させるには、3つの要素が必要です。 ①情報伝達力、②判断力、③信頼関係。これのどれかが欠けても、報連相の本来の目的は達成されません。

報連相の目的とは、 各人員や部署間での繋がりを密にし、知識を共有することで、業務の効率化を図ったり、個人的問題によって人材が流出するのを防ぐことです。職場に対する悩みが大きくなり、解決策として離職する人がいますから。それを未然に防ぐという意味でも、相談するということは大事なことなんです。

そうした目的を達成するためにも、きちんと報連相を行う必要がありますが、意外と見落とされがちなのが、信頼関係です。「何を言ってるのかわからない」、「そんなことを一々相談するな」、「どうしてきちんと報告しないんだ」と憤る前に、日ごろから、きちんと信頼関係を築けるようなコミュニケーションを取っていますか?

そういう意味では、従業員に何かを求める前に、上司としてできることもあるということを確認しておいて下さいね。やはり、人と人の間では、信頼関係が何よりも重要となるのです。

by    tetsu