初心者がスノーボードでヘルメットが必要な理由

スノーボード

だんだん寒くなってきましたね。そろそろウィンタースポーツの季節です。

ヘルメットは着用すべき

5年間もスノーボードをしていると、結構危ない目にもあったりします。真横からヤンキーが吹っ飛んできて衝突したりとか目の前でグラトリされた上にこけられて、事故に巻き込まれたりとか…

このように、車の事故と同じで、自分の意識をいくら高く保っていても防げない「もらい事故」に何回か遭いました。そういう経験を通して、事故が起こった時に備えて準備しておくことは非常に重要だと考えるようになりました。

やっぱり、スノーボーダーはみんなヘルメットを被るべきです。

とはいっても、んなもん大丈夫やろ?という方は多いと思います。というわけで、今回は説得力を持たせるためにスノーボードの頭部損傷に関していくつか論文を読んでみました。その結果、初心者はよりヘルメットを着用するべきだという結論になりました。

※参考とした論文によると初心者の定義は自己申告とのこと。

初心者の受傷割合は高い

まずは、中口らの研究1)から。この論文では、1995年11月~1996年2月に諏訪中央病院でスノーボードによる外傷を治療した140例の内、26例(19%)が頭頸部の損傷をした患者のデータを分析している。

論文によると、その26例の内の実に62%が初心者であったと報告している。また、頭蓋内器質的障害例(脳内の損傷例)に関しては、100%が初心者であると報告している。

Abuの研究2)においても36%の受傷者が初回スノーボード中に受傷と報告しており、Belgholdの研究3)においても、58~60%の受傷者が初心者であると報告している。

これらの論文から、やはりスノーボードによる外傷は初心者に多いと言えるだろう。では、その外傷の要因は何だろう?スノーボードをしている人間なら大体の人が分かるかもしれません。

逆エッジです。

実際に論文中にて、中口らは初心者の緩斜面における逆エッジ転倒の危険性を指摘しており、ヘルメットの着用も推奨している。しかし、ヘルメット着用による怪我防止効果を定量的に示してはいなかった。そこで、ほかの論文を調査した。

ヘルメットの効果

kellyらの研究4)はプール解析によって、ヘルメットの効果について論じている。プール解析とは複数の研究における元データを収集し、再解析することである。この論文では、ヘルメットを着用することで頭部損傷のリスクを35%軽減できると報告しており、初心者の場合は、さらに大きな保護効果があると示唆している。また、ヘルメット着用によって頸部損傷のリスクは増加しないと報告している。

この研究では、実に12本もの論文の元データを利用しており、9829名のヘルメット着用者と36735名とヘルメット非着用者を比較している。その上、この論文の被引用数(論文の価値を判断する基準)も151回となっている。ちなみに、東京大学の教員の被引用回数の平均は15回程度である。以上の二点から、この論文の信憑性は高いと言える。やはり、ヘルメットによる頭部保護の効果は間違いない。もう一つ興味深いことは、初心者の場合にさらに大きな保護効果があると示唆している点である。

まとめ

  • 初心者の頭部損傷のリスクは経験者より高い。
  • 重大な頭部損傷をしたのはすべて初心者だった。(6例、中口らの研究)
  • ヘルメット着用によって頭部損傷のリスクは35%軽減できる。
  • ヘルメット着用による効果は初心者のほうが高い。(示唆にとどまる)

以上のことから、初心者のヘルメット着用は強く推奨されるべきだと考えられる。

参考文献

中口 博, et.al :スノーボードによる外傷,脳外誌6巻4号, pp.256-260 1997.

Abu LR:Snowboarding injuries: an analysis and comparison with alpine skiing injuries. Can Med Assoc J 145, pp.1097-1103, 1991.

Berghold F, Seidl AM:Snowboarding accidents in the Alps:Assessment of risk, analysis of the accidents and injury profile. Schweiz Z Sportmed 39, pp.13-20, 1991.

Kelly Russell MSc, et.al:The effect of helmets on the risk of head and neck injuries
among skiers and snowboarders: a meta-analysis. CMAJ 182, pp.333-340,2010