同調圧力の強い日本において、「空気を読むこと」は生きていく上で必須のスキルです。
空気を読むという行為には主に二つの役割があります。
それは、遠慮と配慮です。語感は似ていますが、意味は全く異なります。
というわけで、今回は遠慮と配慮の違いについて分かりやすく解説します。
目次
遠慮とは
遠慮の定義を辞書で調べてみると次のようにあります。
- 人に対して、言葉や行動を慎み控えること。
- 辞退すること。また、ある場所から引き下がること。
- 遠い将来のことを思慮に入れて、考えをめぐらすこと。遠謀。
- 江戸時代、武士や僧に科した刑罰の一。軽い謹慎刑で、自宅での籠居(ろうきょ)を命じたもの。夜間のひそかな外出は黙認された。
引用:デジタル大辞泉
このように、遠慮には多くの定義があります。
その中でも今回扱う意味は、①番の「人に対して、言葉や行動を慎み控えること」です
そもそも、遠慮をする理由とはどういったものでしょうか?
それは「自己保身のため」です。
遠慮している時の心理状態を振り返ると分かりやすいと思います。
遠慮は、自分に自信がない時や責任を負いたくない時にしますもんね。つまり、後ろ向きで生産性がないわけです。
もちろん、頻繁に遠慮する方は意思決定の場においても、自分の考えを主張することができません。
それは、周囲に気を遣っているのではなく、自分を守るためです。
というように、遠慮は「自己保身のために行動しないこと」と定義できます。
配慮とは
配慮の定義を辞書で調べてみると次のようにあります。
- 心をくばること。心づかい。
引用:デジタル大辞泉
シンプルな定義ですね。
この定義は「相手のことを考えた上で行動をすること」とも言い換えられると思います。
つまり、配慮は「人のため」の行動であるわけです。
例えば、会議中にトップの人間が強く発言しないのは、周囲に対する配慮と考えられます。
そりゃ、目上の人間が黒と言えば、白でも黒と言ってしまう人が増えてしまいますからね。周囲の意見を聞くためにあえて沈黙するというのは、立派な配慮なのです。
というように、配慮とは「相手のことを考えた上で行動を取ること」と定義できます。
遠慮と配慮の違いと見分け方
先ほど説明したように、遠慮は「自己保身のために行動しないこと」です。
一方で、配慮は「相手のことを考えた上で行動を取ること」を意味します。
そのため、遠慮と配慮の違いは「誰のための行為か?」という基準で考えましょう。
例えば、明らかに間違っているのにも関わらず、目上の人への諫言を遠慮することは、非難を受けないようにするための自己保身です。つまり、利己的な行動と言えるわけです。
一方で、勇気を出して目上の人に諫言するのは、その人のためを思った配慮です。つまり、利他的な行動と言えるわけです。
簡潔にまとめると次のようになります。
- 「遠慮」は自分のための行動を慎むことです。
- 「配慮」は他人のために行動をとる/慎むことです。
配慮はするが、遠慮はしない
星野仙一監督の名言です。皆様も一度は聞いたことがあると思います。
星野監督は闘将とも呼ばれ、周囲からその厳しさで恐れられていました。
それでも、人望が厚かったのは誰に対しても「配慮はするが、遠慮はしない」という姿勢を貫いたからです。
もちろん、それは三度の三冠王に輝いた落合やメジャーリーグのスーパースターだったAJ(アンドリュー・ジョーンズ)も例外ではありませんでした。
普通の人ならチームの中心人物や自分より実績のある人に物申すことはできません。私なら絶対にできない自信があります。
しかし、星野監督は彼らの実績に敬意を払いつつも、言うべきことはしっかりと主張しました。時には怒り狂って暴言を吐くこともあったらしいですけどね。
「配慮はするが、遠慮はしない」という言葉自体は非常にシンプルで分かりやすいものです
しかし、「言うは易し、行うは難し」とあるように、これを実践するのは極めて困難です。
しかし、真のリーダーとなりチームを率いるためには必要不可欠な能力だと思います。
皆さんも今から取ろうとしている自分の行動や考えが、「遠慮」なのか?「配慮」なのか?と問いかけてみてはいかがでしょうか?
それを考えるだけで、自身の思考・行動スタイルの変容を促すことが出来ますよ。
まとめ
- 配慮とは?
「相手のことを考えた上で行動を取ること/慎むこと」です。つまり、利他的なわけです。 - 遠慮とは?
「自己保身のために行動を慎むこと」です。つまり、利己的なわけです。 - 配慮はするが、遠慮はしないとは?
自分を守るために行動を慎むことはせず、相手のこと(実績・プライド・性格)を考えた上で行動をとることを意味します。
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