企業側が学生側に最も求める能力はコミュニケーション能力です。(HR総研の調査より)そんなに重要と言われているコミュ力とはなんなのでしょうか?
と聞かれると答えられない人が多いです。というわけで、今回は「コミュ力」とは何かという視点で記事を書いていきます。まずは「コミュニケーション能力」の定義から考えてみましょう。
目次
コミュニケーションの定義
定義
言語、身ぶり、画像などの物質的記号を媒介手段とした精神的交流のこと。また、その内容は分析的に知的理解のためのものと情緒的な伝播を目指すものとに分けられる。
引用元:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
※強調したい部分を太字にしています。
詳しい説明
この中で最も重要なのが、コミュニケーションには2つの役割があります。2つの役割が強いと言っても、綺麗に分類できるものではなく、その比重の大きさによって決まります。
・分析的な知的理解を目指すのもの
こちらの意味合いが強いコミュニケーションの例は以下の通りです。
例.ゼミや研究報告など(大学・大学院の場合)、業務報告や会議など(会社の場合)、購入・契約時の相談など(日常生活)
簡単に言うと、社会・経済的な活動に必要不可欠なものと言えるでしょう。
・情緒的な伝播を目指すもの
こちらの意味合いが強いコミュニケーションの例は以下の通りです。
例.人同士の冗談、ノリ、挨拶など
簡単に言うと、人間関係の向上・円滑化に役立つものと言えるでしょう。
上記のように「コミュニケーション能力」には2つ役割があります。本記事ではそれらを区別するために、以下の2つの言葉を定義します。
知的コミュニケーション:分析的な知的理解を主とするコミュニケーション
情的コミュニケーション:情緒的な伝播を主とするコミュニケーション
コミュ力に対する考え方の違い
大学生におけるコミュ力
就活生が考えるコミュニケーションは、情的コミュニケーションがメインです。実際、学生間の飲み会やサークルでの活動のほとんどが情的コミュニケーションによって行われます。もちろん、例外はありますが…
例えば、大学生が良く使う
うぇ~い
という語に情的コミュニケーション以外の意味があるはずがありませんもんね。しかし、学生の内はこの語さえ話せていれば、それなりにコミュ力があると評価されます。別に、大学生に限った事ではないけどね…主婦同士の井戸端会議や社会人の宴会芸等の大騒ぎだって到底知的コミュニケーションとは言えないだろうし。
つまり、大学生にとってコミュ力とは情的コミュニケーション能力のことを指しているわけです。もちろん、情的コミュニケーションを悪く言っているわけではありません。個人的にはそういう話も楽しいと思えるし、嫌いなわけではありません。
ただ、コミュニケーション能力を情的コミュニケーション能力のみによって評価する大学生があまりにも多いことを問題視しているのです。
社会人におけるコミュ力
一方で、企業が重視しているコミュニケーション能力は知的コミュニケーション能力です。もちろん、情的コミュニケーション能力も必要ですがね。実際に、情的コミュニケーション能力が必要な会社だって多くあります。例えば、飲食業や介護業など人と直に接する職業には高い情的コミュニケーション能力が必要とされるでしょう。
しかし、それは最低限の知的コミュニケーション能力を満たした上での話です。知的コミュニケーション能力がなければ、店舗を経営する上で重要な仕入先との交渉や新商品の開発を遂行することはできないでしょうし、被介護者やその家族に関する情報の共有なんて到底できないでしょう。
当然のことですが、会社の業種や規模によって求められる知的コミュニケーションの水準は大きく異なります。多くの就活生が目標とする東証一部上場の大企業にはより知的コミュニケーション能力が求められます。仕事の基本は報・連・相と言われるぐらいですから、その基礎を確立している人間が重要視されるのは当然のことでしょう。確かに、報告も連絡も相談もすべて知的コミュニケーションに分類されますもんね。
就活での問題
定義のすれ違い
先ほどから言及しているように、就活生におけるコミュ力の定義と企業(特に大企業)におけるコミュ力の定義が異なります。それゆえ、採用する側と採用される側にギャップがあります。
採用する側は日々の業務を円滑にこなすために必要な知的コミュニケーション能力を重視しているのに、採用される側(就活生)は大勢の人とワイワイできる能力(情的コミュニケーション)が企業の求めるコミュニケーション能力だと信じています。お互いが困ることになるのに改善されないのは不思議ですね。
問題の解決法
解決法は簡単です。コミュニケーション能力の定義を明確にすること。これに尽きると思います。先ほど示したようにコミュニケーション能力の2つの能力に分割したらいいのではないでしょうか?そうすれば、採用する側とされる側のギャップを埋められると思います。とはいっても、企業側にそれを求めるには時間がかかります。それゆえ、大学生のコミュニケーション能力に対する理解を変えることが重要です。
知的コミュニケーション能力の鍛え方
知的コミュニケーション能力は論理的思考力の一部です。それゆえ、論理的思考力を鍛えれば、自ずと知的コミュニケーション能力もついてきます。そのことは実体験済みです。というより、論理的思考力なしに知的コミュニケーション能力を高めることはできません。どうすれば、その論理的思考力を鍛えることができるのでしょうか?興味のある方はご覧ください。
まとめ
- コミュニケーションには分析的な知的理解と情緒的な伝播の二つの役割がある。
- 就活生の多くは情的コミュニケーション能力のみをコミュ力と解釈しがち。
- 企業(特に一部上場の大企業)はコミュ力の中でも知的コミュニケーション能力を重視します。
- 大手企業を目指す就活生は知的コミュニケーション能力の向上を図るべき。
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