説明下手の特徴とイライラした時の対処方法について解説

良くないことですが、説明下手にはイライラします。しかし、イライラしても問題は変わりません。

むしろ問題が悪化するリスクさえあります。

今回は説明の大切さをお伝えした上で、説明下手の特徴とイライラした時の対処方法について解説いたします。

説明の重要性

報連相」というワードは皆さんも聞いたことがあるでしょう。

これは、ビジネスを行う上で重要な報告連絡相談の頭文字をまとめたものです。

例えば、スマホが故障したとします。上手く現状報告できれば、話はスムーズに運びます。しかし、「何もしていないのに壊れた」と報告をすれば、原因を特定できず、話が進みません。

そうすれば、お互いイライラしてコミュニケーションがうまく行きません。

そんな「報連相」の本質は説明です。

ある事柄が、よくわかるように述べること。

出典:小学館 デジタル大辞泉

説明」は相手ありきです。相手が理解できなければ「説明」の意味はありません。

先輩・上司から説明が分からないと言われた時点で説明はできていないのです。

説明下手な人の特徴

結論がない

要は、「結局何が言いたいの?」です。結論が分からないのは聞き手にとって負担です。なぜなら、推測が必要になるからです。謎解きで頭を使うのと同じです。

具体例でもう少し考えてみましょう。

山田さんは「A社とB社のPCソフトのどちらを購入するべきか調査せよ」という仕事を与えられていました。山田さんなりに頑張って製品調査を行い、以下のような説明を行いました。

「A社の製品の特長はランニングコストの安さです。B社の製品と比較してランニングコストは1/2となっています。一方で、A社の製品は初期費用が高く、B社の2倍となっています。サポートに関しては電話問い合わせも可能なB社のほうが優れいていると考えます。A社は電話問い合わせには対応していませんが、メールでの対応が素早いことで知られています。性能の観点から見ると、最新の技術を搭載しているA社のソフトのほうがB社よりも優れています。(この後も2社の比較が延々続く…)」

このように説明されると、よく調べているなとは感じます。しかし、結論が分かりません。

話が脱線する

このタイプの人は「要らない話をしないで」や「それがどう関係するの?」です。

要は、話題を絞れていないわけです。

こちらも具体例を挙げましょう。

山田さんは「A社とB社のPCソフトのどちらを購入するべきか調査せよ」という仕事を与えられていました。山田さんなりに頑張って製品調査を行い、以下のような説明を行いました。

「そういえば、B社の電話サポート体制を知っていますか?あそこのサポートは24時間体制でいつでも問い合わせ可能なんです。しかも、全オペレータが有資格者だそうですよ。難易度が高くて有名な資格なのに、すごいとおもいませんか?ちなみに、難易度も高いですけど、受検料も相当するらしいですよ。B社の人に対する投資の姿勢はわが社も見習いたいものですね~」

本筋からそれていますよね?忙しい時間を割いて会議に参加しているならイライラも倍増します。

実際は、こんなに極端ではありません。しかし、要点を絞れない事例は多く見られます。

聞き手への配慮が不十分

このタイプの人は、「もっと簡単に話せ」です。

話し手の常識≠聞き手の常識です。必ず、相手の知識レベルに合わせて話しましょう。本質でない部分については、一部に脚色を加えても問題ありません。

こちらも具体例を挙げましょう。

山田さんは「A社とB社のPCソフトのどちらを購入するべきか調査せよ」という仕事を与えられていました。山田さんなりに頑張って製品調査を行い、以下のような説明を行いました。

A社のソフトには、B社のソフトには実装されていないMTDSシステムが組み込まれています。これにより、FSTS時における処理速度が従来のRTDSシステムの十倍という驚異的な数字になっています。これにより、業務の効率化が図れると考えます。

もし、聞き手側がMTDS、FSTS、RTDSという専門語が知らなければ、当然理解できません。

説明は相手に理解されて初めて価値を持ちます。常に相手に合わせて話のレベルを変えましょう。

説明下手を改善する方法

先ほど説明したように、説明下手には様々な要因があります。

ここでは、要因別に解決方法をご紹介したいと思います。

これは、人に指導する際にも活用できますので、是非参考にしてみてください。

結論が分かりにくい場合

大切なのは結論ファーストです。

ゴールが予め見えるので話を追いやすくなります。次に、結論に至った根拠をいくつか並べます。

可能ならば、根拠に対する根拠も用意しておきましょう。そして最後にもう一度結論を述べます。これだけで説明が伝わります。話の順序を図解すると次のようになります。

話が脱線する場合

話が脱線する場合は、説明の目的を意識せねばなりません。

目的に照らして、必要であれば話に盛り込み、不要であれば捨てましょう。

このように、「何のために説明するのか?」

聞き手への配慮が不十分な場合

話す相手がどういう人物なのかを考えてから話すようにしましょう。

説明や議論する分野において、自分と同等又はそれ以上の知識を持つ人物なら、基本的に配慮をする必要はありません。専門用語も多用しても良いです。

逆の場合は、聞き手の特徴を考え、相手の理解できる言葉を使いましょう。

例えば、高齢者だったら外来語が苦手な人が多いため、できるだけ日本語を使って説明をした方が良いでしょう。積分を知らない中学生に、X,Y軸と直線Aに囲まれる領域の面積を教えるなら、三角形の面積を求める公式(縦×横×1/2)を使って指導をする必要がありますね。

専門用語を使う場合は、少し表現をデフォルメしても構いません。

改善事例

改善された文章

結論から申しますと、A社の製品のほうがわが社には適していると考えます。まず、コスト面においてA社のほうがB社よりも優れます。実際、A社はB社と比較してランニングコストが1/2となっています。確かに、導入時のコストという観点ではB社に軍配が上がりますが、2年以上の継続利用の場合A社のほうがトータルのコストが安くなります。前代のソフトも4年間の継続実績がありますので、この種のソフトはランニングコストの削減を意識したほうが良いと考えます。そのため、コスト面において、A社のほうが優れていると考えます。

性能面に関しても、MTDSシステムが採用されているA社のほうが優れていると考えます。MTDSシステムとは、処理を並列的に行うシステムのことで、パソコン本来の処理能力を引き出すことができます。特に、処理するべきデータが飽和している時(FSTS時)に関しては、従来の直列的処理システムであるRTDSシステムの十倍の処理能力を誇ります。わが社は業務の特性上データの流入量が夕方3~4時にかけて増加し、処理するべきデータが飽和状態になっていました。MTDSシステムを使用すれば、飽和状態の継続時間が大きく削減することができ、顧客とのデータ交換がよりスムーズにできるものと考えます。

サポート面に関しては、24時間の電話対応を行っているB社のほうが優れていますが、システム担当の社員へヒアリングをした結果、メール対応のほうが都合が良く、電話対応を依頼する機会はほとんどないだろうとの回答を得ています。そのため、わが社からするとサポート面に特別な差はないと考えています。

以上の3点から、A社の製品のほうがわが社には適していると考えます。

文章の解説

「A社の製品が適する」という明確な結論が冒頭に出ていますね。このように書くと、ゴールが初めから見えているので、聞き手にとっては非常に楽です。次に、「A社の製品が適する」という結論の根拠について話を進めています。根拠として、コスト・性能面で優れること、サポート面に大差はないことを示しています。

さらにその根拠の根拠となる部分についても言及しています。コスト面の優位性については、「2年以上の継続利用であれば、初期費用とランニングコストを合算したトータルコストがB社よりも安くなること」・「前代のソフトには4年の継続実績があること」を根拠としています。また、性能面の優位性については、業務におけるMTDSシステムの有用性を根拠としています。サポート面については、システム担当スタッフへのヒアリングからB社の強みである電話対応が会社にとって有用でないことを根拠にサポート面には差が存在しないという主張になっています。そして、最後にもう一度結論について述べています。

結論に対する根拠はもちろんのこと、根拠に対する根拠を述べることで、より説得力を持たせることができています。

また、改善した文章を見たらわかるように、書いている内容の全てが根拠-結論の関係で結ばれています。つまり、話が脱線していないことになります。また、MTDS・FSTS・RTDS等の専門用語についても解説が入れられています。そうすると、専門用語の知識がない人でも話し手の主張を理解することが出来ます。

このように、説明下手に共通する3つの問題を修正するだけで、説明が格段に理解し易くなることがお分かり頂けたと思います。

まとめ

最後に、説明が下手な人の特徴とその改善法について簡潔にまとめます。

  • 結論が分かりにくい
    始めに結論を述べてから、結論に至った根拠について話す。
  • 話が脱線する
    説明の目的を意識する。目的に関係ないものは基本的に省く。
  • 聞き手への配慮が不十分
    聞き手の特徴を踏まえて、専門用語等を聞き手が理解できる言葉まで噛み砕いて説明する。