ネット社会の進化は私たちの生活を劇的に便利にしました。それは皆さんが実感していることだと思います。個人的にはこのような社会の変化を肯定的に捉えています。そりゃ、メールよりライン、ガラケーよりスマホのほうが圧倒的に便利ですからね。今更戻れと言われても、絶対に戻りたくありませんよね。
とはいえ、何事にも功があれば、罪があります。その罪として挙げられるのが、「情報過多」です。昔の情報源と言えば、新聞・テレビ・ラジオぐらいでした。これらの情報源の特徴として、一方向性・発信者が限られている点などが挙げられます。一方で、現在の情報源は、旧来のものに加えて、ブログ・ツイッター・2ch・youtubeなどが新たに加わりました。これらの情報源の特徴として、双方向性・だれでも発信できる点などが挙げられます。
そのため、昔と比較して情報量が膨大となり、信頼性が低下しています。つまるところ、ネットリテラシー(ネットを正しく使う能力)が今後さらに重要となってくるわけです。
目次
ネットの進化が情報弱者の定義を変えた
元々の情報弱者の定義
情報弱者の元来の意味は、「情報機器(スマホやパソコン等)を使いこなせない者」のことを指していました。しかし、スマホの普及がそれを変えました。2019年2月時点での全世代のスマホ普及率85.1%、デジタル機器に疎いとされている60代の人たちでも68.5%がスマホを使用しているそうです。
もちろん、所有者全員がスマホ操作を使いこなせているわけではありません。それでも、情報機器を使えない人が減少傾向にあることは否定できません。つまり、元来の情報弱者は消えつつあるわけです。
新たな情報弱者の定義
一方で、「情報を正しく取捨選択できない者(≒ネットリテラシーに乏しい者)」という意味での情報弱者が増えつつあります。その理由としては、情報量が膨大になったこと、情報の信頼性が低下したことが挙げられます。そりゃ、誰でも好き勝手発信できるようになったわけですからね。
情報過多に飲み込まれる人の特徴
情報過多に飲み込まれる人は膨大な情報を取捨選択することが苦手です。つまり、先ほど説明した情報弱者に該当するわけですね。そういった人には、二つの特徴が挙げられます。
願望や偏見で情報の取捨選択を行う
そもそも、人間というのは物事を見たいように見て、聞きたいように聞く生き物です。そのため、客観的に見て信頼性に乏しい情報であっても、自分にとって都合が良ければ信じてしまいます。逆に、信頼性の高い情報であっても、自分にとって都合が悪ければ、シャットアウトしてしまいます。人間だれもがこのような性質を持っているわけですが、それにも強弱というものがあります。
例えば、私の知り合いのAさんという方は少々偏った考えの持ち主でした。彼は、自分の願望や偏見を基に情報の取捨選択する傾向がありました。実際、政治的な性向が一致しない大手新聞社の記事よりも政治的な性向が一致する2chのまとめ記事を信用していました。
確かに耳障りの良い言葉を聞く方が気分的には良いですが、その行為が生産的か?と考えるとそうは言えないと思います。それよりは、反対の立場にいる人の主張を聞き、自分たちの主張の説得力を高める材料を集めたほうがよっぽど有意義なように思えます。
そういう意味では、朝まで生テレビに代表されるような考え方が異なる人同士が議論する番組には大きな価値があると言えます。お互いの主張を研鑽できますからね。(まぁ、感情が優先して、まともに議論ができない方も時々いらっしゃいますが…)しかし、今のネット社会は真逆の方向を向いています。同じ主張の者同士が集まって、内輪で他勢力の批判を繰り返しているだけですからね。
話がそれましたね…
まとめると、ネットの進化は情報量の増加と情報信頼性の低下をもたらしました。そして、受け手の取捨選択能力に大きく依存する構造ができました。その結果、物事を見たいように見て、聞きたいように聞いてしまう情報弱者が炙り出されたわけですね。そう考えると、子供だけでなく大人にも「ネットリテラシー」の教育が必要かもしれないですね。
情報過多なのに情報を捨てられない
もう一つの問題が情報を集めるだけ集めて、捨てられない人です。モノを捨てられない人と同じですね。もちろん、モノは物理的な領域を侵食するのでより厄介ではありますけどね。
では、情報を捨てられない人にはどういったデメリットがあるのでしょうか?
それは、判断が下せなくなるというものです。情報を集めれば、自ずと相反する情報が出てきますからね。そのため、情報を捨てられないと判断を下すことが出来なくなります。
それは、食べログのレビュー欄を見ればお分かりいただけると思います。どれだけ評価の良いお店でも、酷評している人は一定数いますし、評価の低いお店でも高評価している人は一定数いますもんね。
手に入る情報をすべて受け入れて考えると、この店の食べログの評価は全体的に高いけど、評価が低い人のレビューを見ていると微妙な気もする…どうしよう…あの店の食べログの全体的に低いけど、評価の高い人のレビューを見ると良い店な気もする…どうしよう…ってな具合にね。
そうなると、優柔不断になって何かの決断をするにも、より多くの労力と時間が必要となります。食事の選択程度ならまだしも、車や家の購入など大きな買い物をする際には、大変なことになるのは想像に難くありません。
つまり、情報過多の現代には、情報を捨てることも非常に重要と言うわけですね。
情報過多の時代の情報整理法
願望・偏見を捨てて、信頼性を考える
まず、情報を得る際には願望・偏見を一切捨てましょう。プラスの事柄であれ、マイナスの事柄であれ、フラットな姿勢で臨むことが重要です。そして、得られた情報の信頼性について検討しましょう。
その際は、誰が、いつ、どこで、何を、(なぜ)、どうやって発信しているのかを考えましょう。いわゆる、5W1Hというものですね。なぜ(Why)は推測になることが多いので分からない場合は放っておけば良いです。もし、なぜ(Why)が分かり、それが発言者自身の金銭的な利益につながる場合は信用しないほうが良いです。一時期ステルスマーケティングとか流行りましたもんね。
例として、芸能人が昨日討論番組にて、プラスチックごみの問題について、テレビを通して情報発信をしたというケースを考えてみましょう。確かに、テレビの討論番組というのは比較的信頼性のあるメディアですが、芸能人が意見を出している点を考慮するとあまり信頼性のある主張としては認められないでしょう。もしこれが、プラスチックごみ問題などの環境問題を専門に扱うジャーナリストの主張であれば、情報に信頼性があると言えます。そりゃ、その道で飯を食っているわけですからね。
mr.childrenの桜井和寿さんは以前インタビューで次のような話をしていました。
ミュージシャンがライブ会場などでメッセージを発信することもあるが、彼らが信頼されてるのは音楽があってこそ。なのに自分自身が信頼されていると勘違いし、言葉を発信するのは謙虚ではない。
引用:2007年の『ROCKIN’ON JAPAN』でのインタビューにて
本当にその通りだと思います。とは言っても言論の自由がありますから、公序良俗に反しない範囲で何を発言・発信しても問題ないんですけどね。なので、情報を受け取る側のリテラシーが要求されるわけですね。
そのため、情報の信頼性を吟味する際は誰が、いつ、どこで、何を、(なぜ)、どうやって発信しているのか(5W1H)についてしっかりと考えましょう。
自分の判断軸を確立する
情報を整理(=取捨選択)するためには、自分の判断軸がなければなりません。そのためには、普段から自分がどういった判断基準で行動し、どういった行動をとった時に満足する結果を得られるのかを知っておく必要があります。そうすれば、自分にとって不要な情報を捨てて、必要な情報のみをピックアップすることが出来ます。
例えば、僕の場合はモノを購入する場合、こだわるもの以外はすべてコストパフォーマンス+安定性によって判断します。そして、購入した商品・サービスが十分なレベルであれば満足します。
具体的な事例としては、格安simへの乗り換えが挙げられます。詳しい話についてこの記事をご覧ください。
もちろん、格安simに乗り換えるかどうか?乗り換えるとしてどこに乗り換えれば良いのか?など多くの情報を収集しました。その際の判断基準は安さと信頼性でした。その観点で情報を整理してみると、mineoが一番だったわけですね。安さに関してはもちろんのこと、親会社が関西電力で契約者数も多かったので信頼性に関しても十分い高いと判断しました。
このように、自分の判断軸を持ち、その上で情報を取捨選択すれば、素早く正解に近い答えにたどり着けます。もし、満足いかない結果になったのなら、自分自身の判断軸を修正してより正確にしていけばよいだけですしね。この方法を繰り返していれば、情報過多な状況に陥っても、自分の判断軸で素早く正解に近い判断をすることができます。
まとめ
- 元々の情報弱者の定義とは?
パソコンやスマホなどの情報端末を使えない人を意味します。 - 新たな情報弱者の定義とは?
情報を正しく整理(=取捨選択)できない人を意味します。 - 情報過多に飲み込まれる人の特徴とは?
特徴としては「願望や偏見で情報の取捨選択をする人」や「情報を捨てられない人」が挙げられます。 - 情報過多に対応するための情報整理法とは?
一つ目は、願望・偏見と信頼性を切り分けて考えることです。その際には、誰が、いつ、どこで、何を、(なぜ)、どうやって発信しているのかを考えましょう。つまり、発信された情報を5W1Hで考えましょうということです。そうすれば、簡単に情報の信頼度を判断することができます。
二つ目は、自分の判断軸を確立することです。そうすれば、自分の価値観を定規として効率的に一度蓄積した情報を取捨選択できますからね。
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