「ことわざ」には、物事の本質をついているが沢山あります。
そんなことわざの中でも「人事を尽くして天命を待つ」は特に素晴らしいです。
そこで、今回は名言「人事を尽くして天命を待つ」の意味と心の持ちようについて解説します。
目次
「人事を尽くして天命を待つ」の意味とは?
辞書による定義
辞書によると次のように定義されています。
人としてできるかぎりのことを実行し、その結果は天の意思にまかせる。
引用:三省堂 大辞林第三版
要するに、「今の自分ができることに全力を尽くして、その後は運命に身を任せましょう」という意味です。
具体例(受験勉強編)
受験勉強を考えましょう。
もし、受験一か月前ならば、あらゆる誘惑を振り切って勉強に取り組むべき時期です。
つまり、人事の尽くしどころというわけです。
では、受験一日前だったらどうでしょうか?
夜遅くまで勉強するより、早めに寝て体調管理をするほうが良いかもしれません。
それでもまだ人事の尽くしどころはあります。もしかしたら、前日に覚えたことがテストにできるかもしれませんからね。
では、テストを開始してからはどうでしょうか?
自分の得意な問題が出るように、苦手な問題が出ないように祈りながら解答を進めるほかありませんよね。つまり、運の要素が大きいわけです。
それでも、気持ちの持ちようによっては正当率を高められるかもしれません。
しかし、テストが終了したらどうでしょうか?
もう自分にできることは一切ありません。
適当に解答した選択問題の正解や周囲の受験者の失敗を祈るしかありません。
つまり、天命に任せるしかないわけです。
このように、試験が近づくにつれて自分のコントロールできる範囲が狭くなります。
逆に、コントロールできない運の部分が大きくなります。そして、最後には運任せという形になります。
このように、自分の努力でコントロールできる範囲とそうでない範囲を分けることで、自分のやるべきことを明確化できます。
具体例(仕事編)
仕事(ビジネス)は受験勉強よりもさらに天命に任せる部分が大きくなります。
市場の変化や競合他社の動向・自社の状況・上司の考えなどコントロール不可能な要因が沢山ありますからね。
その具体例として、有機ELパネルの開発が挙げられます。
韓国のお家芸となった有機ELパネルですが、有機ELテレビをはじめに販売したのはソニーでした。
それがなぜこのような結果になってしまったのでしょうか?
個人的には運がなかったと考えています。開発があまりに早すぎたからです。
例えば、開発当時に今のようなスマホが普及した市場環境があればどうでしょう。
有機ELの長所は軽い・低消費電力・視野角が広い・画質が良いなどが挙げれます。ま
さに、スマホにピッタリのディスプレイですよね?
そのため、最新のiPhoneでも有機ELディスプレイが採用されています。ですから、開発当時にスマホがあれば、ソニーもより力を入れて開発していたことでしょう。
しかし、1980年代の環境はどうでしょうか?
ディスプレイの主用途はテレビでしたね。テレビにおける低消費電力・広視野角・軽さなどのニーズはスマホと比較すると皆無に等しいです。ですから、有機ELの需要はなかったのです。
そして、さらに運が悪かったのが2008年のリーマンショックです。
これによって、不採算事業として有機EL開発の速度はダウンしました。この時はスマホも全く普及していなかったので、未来を描けなかったのも無理はありません。
ソニーが最善を尽くしたのかどうか分かりませんが、運命に翻弄されたのは間違いないでしょう。
このように、仕事で最善を尽くしても上手くいくかは運命に依存する部分があるのです。
「人事を尽くして天命を待つ」を意識することのメリット
メンタルを良い状態で保てる
仕事にしても勉強にしてもメンタル管理は重要です。
精神的に不安定になれば、物事に集中できなくなりますからね。
では、どのような時に人は精神的に不安定になるのでしょうか?
その一つに、どうしようもない物事に執着することが挙げられます。
「あの時こうしていれば…」とか「なんでこのタイミングこんなことが起こるんだ」など。
しかし、それらのことは当時の自分が対応できたことなのでしょうか?
おそらく、多くの場合でそうではないと思います。
当時の自分が全力を尽くしたと思えるのなら、それは仕方ないことなのです。
人事は尽くせたが、天命には恵まれなかったとなるわけです。
そうすれば、簡単にメンタルが不安定にならなくなります。
良い意味で諦めが良くなる
全力を尽くしても、運に恵まれないことはあります。
そういう時に、「人事を尽くして天命を待つ」を意識できていれば、潔く諦められます。
そして、次のステップに進むことができるのです。
一般的に諦めが悪いことは美徳とされていますが、そうではないことも良くあります。
要するに、損切りが重要なのです。
環境や人を憎まなくなる
できる限りもことをしたら、天命を待つという精神を持っていれば、外的要因(環境や他人の影響)に対して寛大な精神を持てます。すると、周囲への恨みも小さくなります。
どうしようもないことに対して怒りや憎しみの感情を持っても無駄ですからね。コントロールできる範囲とできない範囲を区別するのに、「人事を尽くして天命を待つ」の精神は役立ちます。
成功確率が高くなる
「人事を尽くして天命を待つ」を意識すると、長期的な成功確率が高まります。
余計なメンタルの浮き沈みがなくなるのです。
「常に自分のできることに全力を尽くすこと」を意識して物事に取り組むことができますからね。
自分のコントロールできる範囲で努力し、コントロールできない部分を運に任せるだけです。
そうすれば、短期的には失敗をしたとしても長期的に見れば確実に成功を重ねられます。
まとめ
- 人事を尽くして天命を待つの意味は?
「今の自分ができることに全力を尽くして、その後は運命に身を任せること」です。 - 「人事を尽くして天命を待つ」を意識することのメリットは?
コントロールできない運によって自分のメンタルが左右されることを防げます。
そうすれば、長期的な継続力も高められるので、より成功の確率は高まりますからね。
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