皆様も経験的に知っているように、一言余計な人は学校や会社のどこにもいます。周囲の人はもちろんのこと、当事者自身もつらい思いをしているケースもあります。
というわけで、今回は一言余計な人の特徴、治し方、対処方法についてご紹介したいと思います。
一言多い人は確実に損をする
「一言多い人」は確実に損をします。余計なひと言が人生において重要な人間関係にくさびを打ち込むことになるからです。それは仕事でもプライベートでも同じです。
仕事の場合、取引先など外部の人間から嫌われたり、上司からも部下からも信用されなくなってしまいます。ひどい場合には、取引停止になることも考えられるでしょう。
プライベートの場合、不要な喧嘩が増えることとなり、最悪の場合絶縁されることも想定できます。以上のように、余計なひと言は実害として自分の身にかえってきます。
実際、「ペンは剣より強し」と言われるように、時には直接的な暴力よりも言葉のほうが大きな力を持つことがあります。だから、言葉の持つ力をもっと意識しましょう。
昨今の政治家の答弁を聞いていると、言葉は訂正可能なものと勘違いしてしまいそうになりますが、そうではありません。
一度放った言葉は取り返しがつきません。言われた本人の心の中には、ずっと残り続けます。ですから、不用意な一言には注意したいものです。
一言多い人の特徴と具体例
一言多い人の特徴はたった一つ「考えながら会話できない」ことです。
「この人にはあれを言ったらだめだ」とか「こういう風に言い方を変えてみよう」とか相手の反応を予想して、言葉を繰り出せないことに問題があります。
要は、相手の反応を予想できない又は予想する余裕がないから、一言多くなってしまうわけです。
具体例
例として、上司の佐藤さんと部下の山田さんと新入社員の鈴木さんに登場してもらいます。佐藤さんの物品購入審査は厳格なことで知られています。しかし、佐藤さんには自分なりのポリシーがあり、本当に必要なものであれば購入します。
山田さんは真面目な性格で会社での面倒な雑務を嫌な顔一つせずにこなす人です。しかし、山田さんには「一言多い」という悪い癖がありました。あるランチミーティングで事件は起こりました。
山田「佐藤さんの物品購入審査はとても厳しいよ~」
鈴木「そうなんですか」
佐藤「そんなことないよ~」
佐藤「必要な理由に説得力があれば、ちゃんと購入するよ」
山田「そんなこと言っちゃって~」
山田「他の人と比べたら相当厳しいですよね?」
佐藤「他の人が甘すぎるだけだよ」
佐藤「自分の財布と考えたら、あんなに甘い審査はできないよ」
佐藤「大体みんな不要なものを購入しすぎなんだ」
山田「いいか、鈴木。極力モノは発注しないほうがいいぞ」
山田「どうせ通らないから」
佐藤「お前はいつも一言多いな!」
佐藤さんが怒るのは無理ありません。自分のポリシーを全く理解せず、否定されたんですからね。佐藤さんは「倹約家」なだけで、むやみやたらに購入を渋っているわけではありませんからね。
考えながら話していれば、このような返しにはならないでしょう。仮に山田さんがそう思っていたとしても。たとえば、山田さんがこういう返しをしたら、佐藤さんは納得するのではないでしょうか?
山田「いいか、鈴木。極力ものは発注しないほうがいいぞ」
山田「意外と流用できるものが周りにあったりするからな」
山田「常に必要のないものなら、借りるという選択肢もあるし」
佐藤「わかっているじゃないか!」
余計なひと言の治し方
「考えながら会話すること」ができれば、余計なひと言をなくすことができます。まず、「考える」とは何でしょうか?考えるとは、 筋道立てて頭を働かせることです。
つまり、「考えながら会話すること」とは「相手の返答を筋道立てて予想し、会話をすること」になります。
そうすれば、「思ったこと」と「話すこと」の間にフィルターができ、言ってはならないことを頭の中でとどめておくことができます。
この作業を反射的にできるようになれば、余計な一言もなくなります。ただ、この癖を修正するには沢山の時間がかかります。ですから、他人同士の会話を聴いたり、いろいろな人と会話したりして、少しずつ体に染み込ませていくしかないのです。
しかし、やりっぱなしだと効率的に改善することはできません。というわけで、重要な基礎となる1つのことと意識するべき2つのことをお伝えします。
- 論理的思考力を身に着ける。
論理的思考力(筋道立てて考える力)はすべての基礎です。基礎がしっかりしていないと、上に積み重ねることができません。ですから、論理的思考力を鍛える努力をしましょう。
- 会話の際には自身の会話を頭の片隅で客観視する。
頭の片隅を常に冷静な状態に保ちつつ、自身の会話を外から見つめましょう。そうすれば、自分が不用意なことを言いそうになった時に自制することが出来るようになります。
- 会話のどの部分が悪くて、それをどのように改善したら良いのか?という反省をする。
これは、振り返り学習のようなものです。自身の会話の問題点を明らかにし、次の会話に生かす準備をします。この2点を抑えていれば、「問題点を意識した会話」→「会話の改善」→「新たな問題点の発見」のサイクルを繰り返すことができます。いわゆる、PDCAというやつですね。
そして、このサイクルの質と速度を決定するのが、論理的思考力(筋道立てて考える力)です。論理的思考力があれば、効率よく自身の会話術を改善することができます。そうすれば、「余計な一言」の頻度だけでなく、「会話の質」さえも改善することができます。
一言多い人の対処法
ポジティブに捉えれば、一言多い人は正直な人です。
そう考えると、多少気が楽になりませんか?確かに、デリカシーのない発言は気に障ります。しかし、みんな心の中ではデリカシーのない発言をしています。言葉に出さないだけでね。
エリートに見えるサラリーマンだって、煌びやかな世界に生きる芸能人だって、みんなそうです。
そういうものが垣間見えてしまう人、それが一言多い人です。見方を変えればそんな人にもいいところがあります。
それは、余計なひと言にその人の本音が表れるからです。
先ほどの例もそうですよね?山田さん(部下)が全く自分の意図を理解していないことが分かります。分からないことが分かることは意外と重要なことなんです。
分からない部分を把握できれば、対策も簡単になりますからね。
先ほどの例であれば、佐藤さんは山田さんには購入審査の模範となる書類の具体例などを示し、自身が書いた文章との違いを指摘すれば効果的でしょう。
そうすれば、佐藤さんの意図もうまく伝えることができ、山田さんの考えを変えることができます。それは、内心は山田さんと同じことを思っている人にも有効に働くでしょう。
一方で、内心何を思っているかわからないタイプの扱いは大変です。どのポイントでつまずいているのか?何に不満を抱いているのか?が分かりづらいです。
そう考えると、失礼でも本音を言ってくれる人というのは重要かもしれません。まあ、時と場合によりはしますが…
まとめ
- 一言多い人は考えながら会話できない。「思ったこと」=「話すこと」になっている。
- 余計な一言を治すためには重要な1つの基礎と意識するべき2つのことがある。
論理的思考力(筋道立てて考える力)を身に着ける。
会話の際には自身の会話を頭の片隅で客観視する。
会話のどの部分が悪くて、それをどのように改善したら良いのか?という反省を暇な時間にする。 - 一言多い人は「正直な人」で、時には失礼であるが普通の人が言えない率直な意見を述べてくれる。その意見が時には貴重なものであったりする。そのため、無闇にしかりつけて話を収めるのはもったいないことがある。
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