【無知の知】できない人ほど勘違いする「ダニング・クルーガー効果」について徹底解説

子供は、「なんでもできるんだ!」っていう根拠のない自信を持っています。

最近では、幼児的万能感とも言われますね。

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それが社会の荒波に飲まれて自分の無知・無能力を悟るのです。いわゆる「無知の知」です。

自分の無知を理解すると、一転謙虚になり、学び・努力の姿勢が見られるようになります。

ダニングクルーガー効果もその一種で、「自分の能力を客観視できないため、過度に自信をもってしまう傾向」を示しています。

皆さんも、新入社員や初心者が調子に乗っているなと感じる経験があると思いますが、これもダニングクルーガー効果として説明できます。

というわけで、今回はダニングクルーガー効果について解説させていただきます。

ダニング・クルーガー効果とは?

Wikipediaでダニング・クルーガー効果の意味は次の通りです。

定義がややこしいですね。難しい言葉も並んでいますし。

認知バイアスとかメタ認知とか…

能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアス。この現象は、人間が自分自身の不適格性を認識すること(メタ認知)ができないことによって生じる。

引用:「ダニング=クルーガー効果」
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年10月11日 (日) 10:57 

今回はこれらの難しい言葉を分かり易く解説します。

ダニング・クルーガー効果の定義は、「能力の低い人が能力を客観視できず、過大評価すること」です。これは認知バイアス(勘違い)の一種です。

この勘違いの要因としてメタ認知(自分自身を客観視)が出来ないことにあります。

ダニング・クルーガー効果に似た言葉

ダニング・クルーガー効果を意味する言葉は、あらゆる時代・場所で見られます。

つまり、この認知バイアスは、人類共通の特性なのです。

そんなことが垣間見える事例をココカラはご紹介します。

ソクラテス

古代ギリシャの哲学者であるソクラテスの言葉に「無知の知」というものがあります。

自らの無知を自覚することが真の認識に至る道であるとする、ソクラテスの真理探究への基本になる考え方。

引用:デジタル大辞泉(小学館)

自分自身の無知を知ることがあらゆるものを正しく知るための基本なのです。

逆に言えば、自分を全てを知っているという態度で対応すれば、正しく知ることはできません。

ラッセル

ラッセルは、数学者であり哲学者で、ノーベル文学賞も受賞しています。

ラッセルは次のような言葉を残しています。

私達の時代における苦しみの一つは、確信を持っている人間は愚かさに満ちており、想像力と理解力を持っている人間は疑いと執拗さに満ちていることだ

引用:「ダニング・クルーガー効果」
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年10月11日 (日) 10:57 

引用文にある通り、確信に満ちた人間は、愚かなのです。なぜなら、自分に間違いがないと考えているからです。すべて自分が正しいと思っているから、確信を持てるのです。

逆に、想像力と理解力のある人間は、自分の知識や能力を疑います。

つまり、己の無知を悟っているのです。だからこそ、疑いと執拗さに満ちてしまうのです。

陰謀論もこのような土壌があるため、いつの時代も無くならないのかもしれません。

シェイクスピア

シェイクスピアも「愚か者は自身を賢者だと思い込むが、賢者は自身が愚か者であることを知っている」という言葉を残しています。これもダニング・クルーガー効果を示すものです。

このように、分野・時代・場所が違っても、時代の賢者が似た言葉を遺すのは面白いですね。

中国の四字熟語

西洋だけでなく、中国にも似た表現があります。「夜郎自大」という言葉です。

意味は、「自分の力量を正確に把握できず、尊大な態度を取っている者」を指します。

「坎井之蛙」という言葉も有名です。日本語に直すと、「井の中の蛙大海を知らず」になります。

このように、西洋だけでなく、東洋においても似たような言葉があるのです。

自分の実力を過信するデメリット

成長が止まる

実力を過信すると、努力を怠ります。つまり、成長が止まるのです。

まずは、自分の実力や知識が足りていないと認識することが重要なのです。

新社会人にもよく見られる傾向で、学生時代に培った自信が成長の阻害因子になることがあります。

そのため、いい意味で新人の自信を折ることも大切です。

周囲の協力が得られない

一緒に仕事をする人が、実力もないのに偉そうにしているとどうでしょうか?

普通はイライラして協力する気が無くなってしまいます。ですから、自分の実力以上に尊大な態度を取っていると周囲からの助けが得られなくなってしまいます。

逆に、謙虚であれば周囲からの支援も得やすいです。

他責傾向になる

自信が過剰すぎると自分の失敗・失言を認められません。責任を他人に押し付ける傾向があります。

上司の指導が悪いとか部下が思うように動かなかったから失敗したとかね。

また、他責傾向だと、反省することもないので、失敗を基にした成長にもつながりません。

確かに、自責が過ぎるとしんどくなることもありますが、それは失敗に対する考え方を変えるだけである程度対処できるようになります。

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自分の実力を過信しないために

自分の実力を過信しないためには、「挑戦」することが大切です。

それは、「失敗」と「成長」を同時に経験することが出来るからです。

人は挑戦すると何度も失敗します。

その過程で自分の自信やプライドが打ち砕かれ、自分の無知を知るわけです。

これが成長のきっかけとなり、さらに自分を大きくするのです。逆に、保守的な行動をとると、失敗のリスクが減ります。

そうすると、自分の自信やプライドを打ち砕かれる機会が減少します。そして、自信過剰になる可能性があります。もちろん、謙虚な人は謙虚であり続けられますが…

まとめ

  • ダニング・クルーガー効果とは?
    能力の低い人物が自分の能力を客観視できず、過大評価することです。
  • 実力のない人が陥る自信過剰のデメリットは?
    成長が止まる周囲の協力が得られない他責傾向にあるなどがあります。これらのことから分かるように、実力がない人が過剰な自信を持ってしまうと仕事ができなくなるリスクがあります。
  • 自信過剰にならないためには?
    挑戦をしましょう。挑戦すれば失敗します。そうすると、自分の中の過剰な自信やプライドが打ち砕かれ、謙虚になります。同時に、自分自身を成長させられるのです。