健全な家計と不健全な家計―びっくりするようなある「一家」の家計の話

久しぶりにマジメな題材(社会派?)の記事を書きました。それなりに衝撃的なオチをつけておきましたので。多少退屈かもしれませんが、最後までお読みいただけると幸いです。

 


家計とは

皆さん家計ってご存知ですよね?そうです。あの家計です。日々の生活の中で、家庭を1つの単位としてみた経済の流れです。経済の「やりくり」と言ってもいい。収入(入ってくるお金)があり、支出(出ていくお金)がある、あの家計です。

家計は家庭によって様々です。当然ですね。個々人の稼ぎも違えば、お金の使い道も違います。一晩の飲み代で豪勢にパーっと100万円も使う人もいれば、スーパーの特売コーナーで10円未満の値段に気を遣う人もいる。もちろん、価値観が違うとも言えるでしょうが、それを決めるのは収入を含む経済状況でしょう。月に20万円の収入で一家4人が生活しようとすると小さな値段にも気を遣うことになるでしょうし、月に数百万円の収入があればそこまで気を遣わない方が多いのではないかと思われます。ビルゲイツ氏が3円でも安い野菜探してスーパー巡ってる姿は想像できませんよね。でも、イメージ的にバフェット氏ならしてそう…まあ859億%ありえないでしょうが(バフェットさんゴメンナサイ)。

とまあ、収入と支出の大きさはそれぞれでも、家計には大別して2種類のものがあります。それが、健全な家計と不健全な家計。健全な家計とは、 収入の範囲内でやりくりできている家計のこと。不健全な家計とは、 支出の額が収入を上回っている家計を意味します。

 


健全な家計と不健全な家計

健全な家計と不健全な家計との違いは、収入や支出の大きさによるものではありません。上述したように、健全な家計においては「 収入>支出」となり、不健全な家計においては「 収入<支出」となります。

この両者の最も大きな違いはおわかりでしょうか?先ほど述べたような収入と支出との不等式的な関係ではありません。もちろん、そこに起因するのですが、最大の特徴は持続可能性です。

健全な家計の健全たる所以は、持続可能なところにあります。収入が月に数百万であろうが数十万円であろうが、支出額がその範囲内であれば、永久的に持続可能と言えます。その収入と支出との関係が崩れない限り、そのやりくりは一生続けていくことができるでしょう。だから、健全なのです。

一方、不健全な家計状況ですと、その家庭を維持することはできません。少し考えればわかりますね?収入が月に20万円しかないのに、支出が月に30万円にものぼる生活を続けることなどできるはずがありません。譬え、数ヶ月~数年は足りない額を借金によって補ったとしても、やがては破綻していくのが目に見えてます。これは健全とは言えませんね?

何度も言いますが、家計の健全さは、収入の大きさによるものではありません。とは言え、全くの無関係かと言えば、そういうわけでもありません。収入が大きいと、その分、支出が収入額を越えにくくなるので、健全な家計を生み出しやすくなるでしょう。

贅沢をせずに生きていくだけなら、30万円もあれば十分に生活を送ることはできます。しかし、月収が20万円だと、月の支出が30万円の生活を送ることはできません。一方、月収が数百万円もあれば、余裕をもって生活できます。収入が大きくなれば大きくなるほど、使えるお金に余裕ができるからです。

月収が数百万円もあれば、月の支出が100万円の生活だって送れます。収入が大きければ、それだけ支出可能な額の幅も大きくなるので、健全な家計を生み出しやすくなるわけです。

 


不健全な家計

確かに、収入が大きくなれば、家計は健全なものとなりやすいなどと、素人考えでは思うのですが、中には驚くような家庭もあるようでして。以前、何かの記事で読んだのですが、年収1000万円の家庭が、経済的に火の車なんてこともあるみたいです。僕みたいな貧乏人には、にわかには信じられません…。

どうすれば年収1000万円で家計が赤字になるのかは定かではありませんが、想像力を働かせることくらいはできます。良い車を買う。億ションに住む。それらをローンで購入する。高価なブランド品を身にまとう。趣味や遊興費に惜しげもなく使う。表現力ならびに発想が貧困で申し訳ありませんが、キリもなくこんなことばかり続けていれば、譬え年収が数千万円あろうとも、家計が健全になるとは限りませんね。

でも、生きるためだけならそんな支出は不必要とさえ言えます。結局のところ、不健全な家計を生み出す原因は、不必要に肥大化した支出と言えるかもしれません。それは年収の大きさには無関係なこと。ですから、どんな世帯にも当てはまることなのです。

それでも、この記事をご覧いただいているあなた自身には関係のないことだと思われていませんか?自分の家庭では、収入額を越えるような支出はしていないと。このままの状況が続くはずだと。確かに、そうかもしれません。でも、あなたにとって関係の深い「一家」がそのような不健全な家計を生み出していたら?決して他人事ではありません。

 


ある「一家」の家計の話

こんな「一家」の話があります。夫婦共働きで、年収が675万5050円ほどあります。普通に生活を送っていれば、十分に暮らしていけそうですね。ですが、なかなか現実は厳しく、生活費に加えて、おじいさんおばあさんの医療費や介護費、子どもたちの養育費などを含む支出は年間で994万2910円にも及びます。これでは年間318万7860円の赤字です。

この数字だけみたら、既に破綻しているようにも思われますが、この「一家」のスゴいところは、この赤字額を借金することでやりくりしているのです。これだけでもびっくりしますが、さらにスゴいのは、この年間支出の内、235万820円は借金の返済にあてているのです。正直おったまげます。じゃあその分借りるなよって思わずツッコミを入れたくなりますよね。

そんなことが成り立つわけねぇよって思ってません?ところがドスコイ、実は成り立っているのです。収入の32.1%を借金に頼り、支出の23.6%は借金の返済にあてている。こんなことが半永久的にできるなら、ほぼ錬金術ですよね。累積赤字はどんどんと膨らむものの、ずっとコレが繰り返されるとしたら、そんなの関係ありませんもん。

そんなのできねえよって思ってません?正直、僕もそう思います。借金を減らすためには(減らす意志があるならば)、収入を劇的に増やすか支出を減らして返済にあてるくらいしか思いつきません。普通の家庭なら、数年で破産ですよね。でも、そんなデタラメなやりくりをかれこれ100年近くもやってのけてる、ある「一家」が存在します。

そんな「一家」知らないって?でも、恐ろしいことに、ほぼ確実にその「一家」のツケはあなたのところに回ってきます。あなたとは切っても切り離せない縁があるからです。このデタラメなやりくりの尻拭いをさせられるのです。

え?理不尽だって?それがまかり通るんです。冗談じゃないって?冗談でもジョーダンでもありません。そんなわけのわからない経済感覚の人間の尻拭いなんてしたくない?仕方ないですよ。

だって、これ、日本という「国家」の財政状況そのものですもん

※補足.家計の数字は財務省のホームページの2019年度の資料を元にしています。

by    tetsu