「実験的思考について」―論理的思考力養成―実践編⑤

論理的思考力養成 実践編

問題解決の糸口を掴もうとする時、どこから手を付ければ良いかわからないことなんてありませんか?そんな時、「取り敢えずやってみよう」って精神はスゴく大切だと思います。今回はそんなお話。

 


実験的思考について

実験的思考なんて小難しげに言ってますが、要は、試しにやってみようってことです。でも、単にやってみようってわけではありません。何でもかんでもデタラメに試してみても、何かが得られるというわけではありませんからね。大切なのは、条件をやさしくして試してみるってことです。

魔法陣の問題

じゃあ、具体的にどうすればいいのかって話になりますが、頭の体操がてら、遊びも兼ねて、魔法陣を例に考えてみましょう。

(※注. 魔法陣というパズルの解き方がメインではありません。より専門的な話を期待されるのであれば、別のサイトを参照にして下さい。)

 

魔法陣とは?小さな正方形を組み合わせて大きな正方形を作ります。そのマス目の中に、1から連続した数を入れていき(各数字の使用は1回ずつ)、縦横斜めの直線上の数をそれぞれ足していき、その合計が等しくなればよい、というものです。

魔法陣の解き方には、いろんなパターンがあります。Google先生に訊けば、簡単に答えはわかるでしょう。しかし、自分で解くとなったら、できるでしょうか?パズルが得意な人であれば、できるかもしれません。ですが、誰もが解けるとは限りません。場合によっては、手掛かりを掴めないことさえあるかもしれませんね。

自力で解かなければならないとすると、何か手掛かりが必要です。というのも、ランダムに1~25の数を入れていき、縦横斜めの合計が同じになるようにするのは、至難の業でしょうから。では、どのようにして手掛かりを掴むか?そのために有効なのが、条件をやさしくして試してみるということです。

いきなり、5×5マスの魔法陣に挑んでも、どこから手をつければいいかわかりません。従って、条件をやさしくしてみましょう。つまり、5×5マスで考えるのではなく、3×3マスで考えてみるのです。

 

条件の易化(3×3マスの魔法陣の解き方)

決して、エレガントな解法とは言えないでしょうが、1つの根本的な考え方を示していきます。

3×3マスの正方形の各マスに1~9までの数を、それぞれ当てはめていくことにします。もちろん、縦横斜めの各ラインの合計数が同じになるようにして。まず、大切なのは、各ラインの合計数が同じということですが、その合計数が幾つか?ということです。各マスに1~9までの数を1つずつ当てはめていくということなので、マス全体の数の合計数は

1+2+3+…+9=45

より、「45」となります。そして、マス全体は縦の3ライン、または、横の3ラインに分けられるので、各ラインの合計数が等しくなるということは、マス全体の合計数「45」を、ライン3つで等しく分けるということです。つまり、

45÷3=15

より、各ラインの合計数は「15」にならなければならないのです。ここまでは確実に言えることです。

 

それでは、実際にマスを埋めていきましょう。まず大切なのは、真ん中のマスに入れる数です。これは、縦横斜め4本のラインに含まれる数ですから、慎重に選ばなければなりません。ここに1とか9とか極端な数を入れると、後々面倒なことになりそうです。というのも、真ん中に極端な数を入れると、横のラインの上下と真ん中のラインの数の合計に、それだけ開きが生まれそうですもんね。

(推論過程としては、厳密さに欠け、お粗末に見えるかもしれませんが、お気になさらずに。ここでは、あくまで、試してみるということが第一ですから、多少見栄えが悪くても、どんどん突き進んでいきましょう!)

だとすると、それほど極端ではなく、それぞれのラインに大きな影響を与えない数の方が良さそうですね。1~9までの数ですので、極端とは反対の、真ん中の数なんてどうですかね。つまり、「5」とか。しかも、各ラインの合計数が「15」になるということなので、真ん中のマス含む、縦横斜めの4ラインでは、真ん中のマスを除く2マスの数の合計が、「10」にならなければいけません。

1 2 3 4 5 6 7 8 9

の中のペアで、その和が「10」になる組み合わせと言えば、

1と9 2と8 3と7 4と6

だけですね。つまり、このペアの数を、「5」を中心に、対称的な位置に当てはめていけばいいということになります。

次に重要なのは、四隅に入る数です。これも、縦横斜め3ラインに含まれる数ですから、ここにも、1や9などの極端な数は避けたいところです。つまり、1と9は、真ん中のラインに含まれるということです。

当然、8は9の反対側、2は1と反対側になくてはいけませんね。でないと、縦横の両端のラインの合計数に偏りができそうですから。形としては、次のようになります。

 

すると、下にある横ラインには、「15-8-1=6」より、6を足せばよく、上にある横ラインには、6とペアの数である4を足せばよいことがわかりますね。

後は、縦左ラインの真ん中には3を、縦右ラインには7を入れれば、すべてのラインの合計数は「15」となりますね。これで完成です。

さて、エレガントではありませんが、取りあえず、ある程度の目星をつけて、数を入れていくと、3×3マスの魔法陣ができあがりました。これは5×5マスの魔法陣の問題を解く手掛かりになりそうです。

 

解法の拡張(5×5マスの魔法陣の解き方)

5×5マスの魔法陣についても、基本的には、3×3マスの魔法陣での解法、考え方が役に立ちそうです。まずは、各ラインの合計数を考えます。5×5マスの正方形にある1~25の数の総和は

1+2+3+…+25=325

から、「325」です。さらに、各ラインの合計数が同じということなので、縦の5ライン、あるいは、横の5ラインの合計数が等しくなるためには

325÷5=65

だから、各ラインの合計数は「65」ずつですね。そして、3×3マスの魔法陣と同様に、真ん中のマスには、真ん中の数を、つまり「13」を入れます。後の作業も同様にして、「1と25」、「2と24」、「3と23」、…、「12と14」といったそれぞれの数字のペアを、点対称の位置となるように配置します。もちろん、斜めのラインには、大きいや小さい数を避けながら(3×3の時のように、影響を及ぼしやすい極端な数は、重なるラインの数を少なくする方がうまくいきそうですしね)。あとは、適当に(デタラメに、ではなく)数を当てはめていくだけ。うまくいけば、次のような配置になるかも(というのも、魔法陣となるような配置は、他にも多数存在するので)。

これを、いきなり、うまくいくように当てはめろ、と言われれば、難しいかもしれせん。しかし、このように条件をやさしくすれば、何かしらの解法を、あるいは、そのきっかけを掴めることがあるのです。

さらに、3×3の魔法陣も、5×5の魔法陣も、対角線のラインが目に付きますね。前者では、左上から右下にかけてのラインで「4―5―6」と、後者では、同じラインで「11―12―13―14-15」となってますね。このように、ライン上で連続した整数が両者においてみられたのは、偶然なのでしょうか?マス全体の中にある数字を1から順に追ってみると、何かしらの法則性が、ひょっとしたら、見つかるかもしれませんね。もし、見つかれば、譬え、9×9マスの魔法陣だって作れるでしょう(実際、比較的容易に作ることができます)。

一口に魔法陣と言っても、様々なものがあります。そして、その配列も、3×3マスのもの以外も、幾つも存在するのです。今回は、奇数のマス目のものだけを取り扱いましたが(対称的で見た目が美しいから)、偶数のマス目の魔法陣もあります。ただ、譬えどんなタイプの魔法陣でも、条件を易化して、何かしらの糸口を掴んで、導き出した解法を拡張できれば、比較的容易に解決することができるのです。

 


まとめ

実験的思考とは

取りあえず、 試しにアレコレ考えてみようってこと!問題解決の糸口を掴むために有効な場合があります。

 

具体的にはどうすればいいの

何でもかんでもデタラメに考えればよいというものではありません。色々試すためには、 条件を易化することが重要です!つまり、 問題を簡単にしてアレコレ試したり、考えたりするのです。そこから、何かしらの法則性を見つけたり、うまくいきそうな方法があれば、それらを拡張して適応させてみる。

やさしい条件から、厳しい条件に戻して、問題に取り組む時には、工夫を要する場合もあるでしょう。しかし、少なくとも、何の手掛かりもない問題の解決を図る際には、有効な手段となりえます。

 

 

by    tetsu